研究実績の概要 |
哺乳類の体内時計は視交叉上核によってコントロールされていることが広く知られている。 しかし、最近の報告ではマウスの網膜がこの中枢時計からの命令なしに、直接外部の明暗サイクルを感じ取り、光同調ができるということが示された。この局所同調メカニズムが、眼圧時計および眼圧を形成する房水産生場所である毛様体の局所時計にも同様の機序が存在することを確認するための実験を行なった。第一にマウスの虹彩及び毛様体におけるOpsin4およびopsin5の発現を確認したが、一方で網膜や角膜とは異なりin vitroでは光に感受性性はないようであった。その後wild-typeおよび実質的に盲状状態であるOpn4-/-;rd1/rd1マウスを用いて、その2種のマウスを12時間ごとの明暗サイクルで飼育した。ある一定の時間が経つと野生型は暗期に活動性を維持する一方で、KOマウスは徐々にその体内時計がシフトし、やがて明期に活発となる体内時計が逆位相の状態となる。そのタイミングで眼圧日内変動を24時間測定し、明暗サイクルまたは体内時計のどちらに眼圧日内変動が従っているのかを検討した。この実験では、眼圧日内変動は光に直接同調することなく体内中枢時計のシグナルを受け取っていることが判明した。(1) (1) 1. Tsuchiya S, Buhr ED, Higashide T, Sugiyama K, Van Gelder RN. Light entrainment of the murine intraocular pressure circadian rhythm utilizes non-local mechanisms. PLoS One.2017;12(9):e0184790.
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