研究課題/領域番号 |
17K11420
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
杉山 和久 金沢大学, 医学系, 教授 (80179168)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 緑内障 / 体内時計 / 眼圧日内変動 / 視交叉上核 / オプシン |
研究実績の概要 |
哺乳類の体内時計は視交叉上核によってコントロールされていることが広く知られている。しかし、最近の報告ではマウスの網膜がこの中枢時計(視交叉上核; SCN)からの命令なしに、直接外部の明暗サイクルを感じ取り、光同調ができるということが示された。この局所同調メカニズムが、眼圧時計および眼圧を形成する房水産生場所である毛様体の局所時計にも存在することを確認するための実験を行なった。第一にマウスの虹彩及び毛様体におけるOpsin4およびopsin5の発現をRT-PCRにて確認したが、一方で同じくOPN4, OPN5を発現している網膜や角膜とは異なり、虹彩毛様体のみおよび網膜と角膜と共培養をin vitroで行っても、PER2::luciferase knock in マウスで確認できる範囲では光に感受性はないようであった。その後wild-typeおよび錐体・桿体、内因性光感受性網膜神経節細胞も持たず、実質的に盲状態であるOpn4-/-;rd1/rd1(melrd)マウスを用いて、melrdマウスが明期にactiveになったタイミングで24時間経時的に眼圧を測定し、wild-typeの癌日内変動と比較することで眼圧日内変動は光に直接同調することなくSCNのシグナルを受け取っていることを解明した。さらにそのSCNから眼圧日内変動形成のシグナル伝達物質として、副腎ホルモンであるグルココルチコイドが重要な役割を果たしている可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績でも述べたように、順調に研究は進行し、Opn4-/-;rd/rd1を用いた実験では、眼圧日内変動が直接の明暗サイクルではなくSCNによって支配されていることが明らかとなった。さらにそのSCNから眼局所の眼圧日内変動形成のシグナル伝達としてグルココルチコイドが深く関わっている可能性が高いことを副腎が摘出されたマウスとShamマウスの眼圧日内変動比較によって示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
次の研究計画としては、グルココルチコイドがどのように眼圧日内変動の形成するまでに至るかのメカニズム解明に焦点を絞って計画を進める予定である。 特に副腎摘出マウスではグルココルチコイドだけでなくそのほか様々なホルモンが失われるため、グルココルチコイドが眼圧日内変動に不可欠かどうかの確認、およびその受容体は眼球組織に広く分布するものであるので、房水産生の場である毛様体無色素上皮だけでなく、線維柱帯などの房水動態に関連する部位での働きも含めて研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品や旅費などが想定より少額となったため、次年度の研究の充実のために使用する。
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