研究課題
本研究では,網脈絡膜循環の自己調節機能を明確にすること,網膜疾患における自己調節機能の異常も含め網脈絡膜循環の変化との関連を調べることを目的として研究を進めてきた.視神経乳頭部における眼圧上昇時の血流動態についてレーザースペックルフローグラフィー(LSFG)を用いて詳細に検討した.視神経乳頭部では30mmHgの眼圧上昇直後には血流が低下するが,眼圧上昇1分後より血流が回復し10分後には上昇前と変わらないほどに回復しするという,強い自己調節機能が存在することを見出し報告した(Scientific report, 2018).糖尿病網膜症に対する通常とパターンスキャンレーザーによる網膜光凝固後の血流動態について,LSFG用いて検討した.前増殖糖尿病網膜症に対して網膜光凝固を行うと術後3ヶ月まで通常の光凝固とパターンスキャンレーザーともに経時的に血流が低下し,有意差がないことを見出し報告した(Scientific report, 2018).さらに網膜光凝固を行った部位の血流動態について光干渉断層計アンギオグラフィーを用いて検討し,網膜光凝固直後にはchoriocapillarisの血流は途絶しているが経時的に回復する部位があることを見出し報告した(Medicine, 2018).種々の条件下における眼循環動態の変化について調べ,さらに多くのデータを蓄積することができた.また網膜疾患においては糖尿病網膜症眼のみならず,多くの種類の網膜疾患おいても眼循環動態の変化のデータを蓄積することができ.これらの結果は順次,学会で報告し,論文として投稿する予定である.
2: おおむね順調に進展している
網脈絡膜循環の自己調節機能を明確にすることや,自己調節機能の異常も含め網脈絡膜循環の変化との関連を調べることを目的としている.本年度には眼圧上昇時の自己調節機能について詳細に調べることができ,論文にまとめることができた.また,種々の条件下において眼循環動態がどのように変化するかについて調べることができ,それらのデータを蓄積することができた.また糖尿病網膜症に関する循環動態を詳細に調べることができ論文にまとめることができた.網膜静脈閉塞症などの疾患においても眼循環動態の変化のデータを蓄積することができ.当初の目標を達成できているものと考えられる.
正常人眼における自己調節機能を眼圧上昇時のみならず,酸素投与時や血圧上昇時などの負荷時においても解明し,論文としてまとめる.さらにそれらの自己調節機能が網膜疾患でどのように正常眼と異なる変化と呈しているのかを解明し,網膜疾患の早期発見や予後を調べる方法について検討する.また,網膜疾患における血流動態と機能的・形態的な変化との関連についてデータを蓄積していく.動物実験においてもヒトにおいては負荷を行うことができないような自己調節機能についての研究をすすめていく.
本年度において,より安価な論文校正先で校正を行うことで論文校正費を節約することができたため次年度使用費が生じた.次年度では引き続き,研究に関する論文校正費や投稿料に使用する予定である.
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 6件)
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