我が国の小学生における1.0未満の頻度が過去最高となり、近視発症の低年齢化が問題となっている。世界的にもアジアを中心に近視が増加し、強度近視による視機能障害の増加が危惧されている。一方、小中学校の視力検査は、1979年以降屈折検査が行われなくなり、文部科学省の視力統計は裸眼視力によるABCD判定となり、現状では近視の頻度を正確に把握できない。 小中学生を対象とする臨床研究は学校や保護者の同意を得られにくい、という側面があるが、これまで申請者らは京都府下の学校の協力のもとに学童近視の実態調査について長期の臨床研究をおこなってきた。具体的には、平成14年から4年間継続して同じ小学生の眼軸長を測定し、小学3年生時の眼軸長がその後3年間の近視の進行や眼軸の延長を予測することを見出した。 また平成25年から京都府眼科学校医会、京都府・京都市教育委員会に協力をあおぎ京都府の2か所の小学校で「詳しい視力検査」を継続して行っている。「詳しい視力検査」は裸眼視力、眼鏡視力だけでなく、矯正視力検査、他覚的屈折検査、眼軸長測定、角膜形状測定、高次収差測定を行う検査である。先年度には,京都市凌風学園と福知山市夜久野小学校で,「詳しい視力検査」を実施した. また,強度近視のぶどう膜の診断基準を作成し,客観的な指標でのぶどう膜の存在する患者への後ろ向き調査を開始するための,倫理委員会の承認を得た.強度近視のぶどう腫の診断のため,グループでディスカッションを行いコンセンサスを得ることができた.
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