研究課題/領域番号 |
17K11430
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
篠田 啓 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60245561)
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研究分担者 |
松本 惣一 帝京大学, 医学部, 非常勤講師 (00305054)
今村 裕 帝京大学, 医学部, 准教授 (20276215)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 網膜電図 / 局所網膜電図 / 硝子体手術 / 皮膚電極 |
研究実績の概要 |
硝子体手術中に黄斑局所網膜電図(ERG)を記録するためには黄斑部という狭い領域を安定して刺激するための光源装置が必要となる。 そこで高輝度LEDの光を硝子体手術用の照明プローブに用いられている光ファイバーを経由して、術中に網膜直下に光刺激を行うためのシステムを構築した。すなわち光刺激の輝度および発光時間を制御するために、市販の光刺激装置(LED発光装置 LS-200 メイヨー社製)を導入した。硝子体手術用のプローブ(ピュアポイントエンドオキュラーレーザープローブ)を保持するための保持具をプローブの形状に合わせて設計し、アルミニウム板およびダイキャストで作成した。光源には白色の超高輝度LED(OSRAM社製 LE UW U1A501)をこの保持具に配置し、LED発光面の中心に照明プローブの光ファイバーの中心がアライメントされるようにした。照明プローブ先端から発光する光を白色面上に照射し、照射光の直径が約2mmのときの輝度を測定したところ、350cd/m2であった。 並行して手術直後のERGによる網膜機能評価の可能性の探索を行っている。緑内障手術後低眼圧に伴い高度な脈絡膜剥離(CD)を生じた症例に対し、皮膚電極を用いたERGを用いて機能評価を行った。CDが存在している時期とCDが消失した時期では前者ではERGは著しく減弱していたがCD消失後には反応の増大がみられた。CD眼に対するERGの報告はまれであるが、臨床的な有用性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
黄斑局所網膜電図の刺激及び記録装置の作成、記録条件の確認作業に時間がかかっている。 特別な器具を用いず、硝子体手術に一般的に用いられる器具を用いた光源による刺激が必要と考えており、エンドイルミネーションプローブ、先端が直のレーザープローブ、先端が曲のレーザープローブ、などを用いて適切な光量を照射できることが必要であり、現在これを確立中である。
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今後の研究の推進方策 |
刺激光の照射システムが近いうちに完成するので、次は背景光の照射システムを完成させ、これらの連動と強度のバランスの調整を行う。その後、刺激光源のトリガーシグナルと生体電位記録装置の同期を行い記録装置を完成させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は黄斑局所網膜電図記録装置の開発を行っていて、刺激装置はほぼ完成したが背景光の照射システムと、記録装置との同期が必要であり現在順次構築中である。 また黄斑局所刺激は照射範囲が狭く、術者はかろうじて視認可能であるが硝子体手術中のモニターでは可視が困難である可能性が高い。そこで、硝子体手術記録の際に、術者が観察する際の光量(明度)を増幅できる3Dデジタル手術システムの導入を考えている。そのためにはHD以上できれば4Kのカメラ2台、プロセッサー、3D表示可能なモニターないしはプロジェクターとスクリーン、偏光眼鏡ないしはアクティブシャッター方式に対応した眼鏡が必要であり、現在機種選定に時間を要している。2年目にはこのシステムを構築する予定である。
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