研究課題/領域番号 |
17K11433
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
丸山 勝彦 東京医科大学, 医学部, 講師 (60385002)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | VRQoL / 緑内障 / 薬物療法 / 手術療法 |
研究実績の概要 |
平成29年度は東京医科大学病院を受診した緑内障症例を34例を対象にエントリーした。対象の性別は男性14例、女性20例、平均年齢52.5歳(レンジ34~90歳)で、病型は原発開放隅角緑内障22例、原発閉塞隅角緑内障1例、続発緑内障11例(ぶどう膜炎に伴うもの6例、落屑緑内障1例、ステロイド緑内障1例、アトピー緑内障2例、血管新生緑内障1例)であった。なお、6例11眼には既に白内障手術が行われていた。屈折検査、視力検査、眼圧検査、前眼部細隙灯顕微鏡検査、隅角検査、前眼部写真撮影、眼底検査、眼底写真撮影、光干渉断層計(OCT)撮影、視野検査(ハンフリー自動視野計中心30-2プログラム、中心10-2プログラム)、眼軸長測定、角膜内皮細胞スペキュラマイクロスコピー、前眼部OCT撮影、角膜形状解析の検査データを得た。また、VRQoLの調査をNEI VFQ-25日本語版により行った。 患者情報の機密保持のため、得られたデータは記号化して保管し、患者の身体状況に関しては当研究に関わる内容のみを記録して、研究代表者が一括して管理している。 エントリー後、症例に応じて点眼治療、手術治療を開始し、定期的に諸検査を行っている。このうち、点眼治療を行っているのは15例であるのに対し、手術治療を行ったのは19例であり、14例には片眼のみに、5例には両眼に対して手術を行った。術式の内訳は線維柱帯切除術17眼、縫合糸による線維柱帯切開術(眼内法)2眼、眼内ドレーン手術2眼、チューブシャント手術(プレートあり)3眼であり、白内障との同時手術を行ったのは2例4眼だった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は新規無治療の緑内障症例を対象とし、年間登録症例数100例を目標としていたが、純粋な新規症例が少なく、35例のエントリーにとどまった。次年度からは治療中の緑内障症例も対象に組み入れて症例数の増加を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き症例のエントリーを行う。 また、登録された症例に対し、経過観察1年毎にNEI VFQ-25日本語版によるVRQoLの再調査を行い、過去の結果からの経時変化を下位尺度毎に解析する。なお、解析にはRasch分析を用い、VRQoLの経時変化と臨床因子との関連を検討する。臨床因子の中では特に、視野のmean deviation、VFI、クラスタ別のトータル偏差を、better eyeとworse eyeに明確に分けて解析する。また、OCTの結果も解析方法毎に全体と各部位別に分けて解析する。さらに、点眼治療中の症例にはDUESや角膜上皮障害、充血などの副作用に、手術後の症例は眼瞼下垂や角膜乱視などの合併症に特に着目して解析する。なお、各因子はお互いに交絡している可能性が高いため多変量解析を行い、独立してVRQoLに影響する臨床因子の有無を検討する。 一方、視野に関する臨床因子が悪化しているにもかかわらずVRQoLは低下していない症例の臨床像を分析し、特徴を明らかにする。そして、治療の介入がVRQoLの増悪に影響を及ぼしやすい症例と、そうでない症例の特徴を分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は旅費、論文出版に該当する経費がなかった。 また、VFQ-25日本語版ライセンス料が予想以上に抑えられた。
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