2019年1月から12月の1年間に、松本歯科大学病院眼科にて抗血管内皮増殖因子阻害薬の硝子体内注射の治療を行った加齢黄斑変性の患者147名をサブタイプに分類した。診療録、カラー眼底写真、光干渉断層計、フルオレスセインおよびインドシアニングリーン蛍光眼底造影検査の所見をもとに滲出型加齢黄斑変性をサブタイプに分類した。典型的加齢黄斑変性73人(50%)、ポリープ状脈絡膜血管症62人(42%)、網膜内血管腫状増殖12人(8%)に分類できた。 並行して、加齢黄斑変性(AMD)の患者および対照群として白内障患者(control)、さらに網膜疾患の対照群として網膜静脈閉塞症(RVO)患者の歯周病検査を行った。AMD群の平均年齢は76.1歳で、control群の71.3歳、RVO群の67.4歳より有意に高かった。総歯数はAMD群24.7本control群25.4本、RVO群23.6本と有意差はなかった。歯周病の評価の1指標となる平均probing depth(PD)はAMD群2.52+/-0.50mm、control群で2.35+/-0.35 mm、RVO群2.37+/-0.50mmにて有意差はなかった。総歯数の平均PD値で有意差が出なかったため、AMD群とcontrol群においてはアタッチメントレベル(AL)値も加え、前歯と奥歯に分けて、最深値および平均のPD値、AL値を比較検討した。しかし、いずれにおいても有意差がなかった。 しかし、AMD群では測定時の出血部が20.4%(0~72.2%)とcontrol群の6.5%(0.5~13.6%)に比べ、P値0.055ながら極めて大きいことが新たに判明した。 研究計画に盛り込んだAMD患者の遺伝子多型の検索は今回の研究期間では予備実験までとなり、計画通りには行えなかった。今後、症例数の増加とともに進めたい。
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