研究課題/領域番号 |
17K11441
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
近藤 寛之 産業医科大学, 医学部, 教授 (40268991)
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研究分担者 |
林 孝彰 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10297418)
日下 俊次 近畿大学, 医学部附属病院, 教授 (60260387)
大路 正人 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90252650)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Stickler症候群 / 網膜剥離 / 黄斑低形成 / 眼底自発蛍光 / 視野 / 視力 / 遺伝子 / COL2A1 |
研究実績の概要 |
本研究は日本人でのStickler 症候群の遺伝学的知見と眼科臨床所見に立脚した新しい診断基準を作成し、網膜剥離の発症を予測・予防する。Stickler症候群は遺伝性の全身疾患であり、高率に網膜剥離を生じ失明にいたる危険性が高い疾患である。適切なマネージメントにより予防治療の成果が期待できる。本研究は眼科的な臨床研究、遺伝子研究を融合し、診断基準の構築や治療法の解明・予防的治療に関わる研究を包括的に進める。 初年度はStickler症候群の診断基準作成に有効と思われる臨床像の解析を行った。光干渉断層計(OCT)を用いた研究としては、OCT B-scan(断層)画像を用いた黄斑部の形成不全(黄斑低形成)の計測、及びOCT angiography (OCTA)による網膜中心窩無血管帯の形成の定量化、OCT en face(平面)画像による網膜表層・内部構造の定性的評価を行い他の疾患と比較した。各画像所見と眼科的所見(視力・屈折度)との相関を検討した。黄斑低形成所見は全症例の80%にみられる所見であったが、視力や屈折度との相関はなかった。研究成果はOphthalmology誌に公表した。 次に眼底自発蛍光検査(FAF)により、Stickler症候群の網膜変性所見について視機能との関連を評価した。これまでStickler症候群では眼底所見として傍血管網膜変性が知られているが、他の網膜変性所見を含め、視力、視野、網膜電図(ERG)との関連を評価した。遺伝子検査としてCOL2A1 遺伝子のスクリーニングを行った。シークエンスによって全体の90%の家系がCOL2A1遺伝子異常を有することが分かった。特にCOL2A1のミスセンス変異を呈した1家系では黄斑変性や傍血管網膜変性とは異なる眼底所見を呈した。 これらの研究結果については現在解析中であり、次年度に成果をまとめる予定である
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
眼底自発蛍光検査所見の確立は順調に進行しているが、原著作成には予定より時間を要している。今年度は眼底自発蛍光の研究結果を解析し公表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
我が国でのStickler症候群の予防的な治療法の策定を目指して、症例収集のための連携施設の拡大・強化(啓蒙・情報交換)を行い、対象の増加につとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
H29年度に遺伝子解析の受託に費用を計上したが、手続き上間に合わず年度をまたぐこととなったが、すでに契約を進めておりH30年度初頭に執行する予定である。
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