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2019 年度 実施状況報告書

新たな実験系を用いた視細胞死のメカニズムの解明とその阻止

研究課題

研究課題/領域番号 17K11448
研究機関大阪大学

研究代表者

辻川 元一  大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70419472)

研究分担者 松下 賢治  大阪大学, 医学系研究科, 講師 (40437405)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード加齢黄斑変性 / HTRA1 / 視細胞 / 小胞体ストレス
研究実績の概要

我々はZebrafishをモデルとして眼疾患の病態の研究を行っている。本課題においては先進国での失明の第一位の原因である加齢黄斑変性の強力な疾患感受性遺伝子HTRA1が視細胞死を引き起こすメカニズムについて明らかにしてきた。本疾患の疾患感受性変異や加齢といった発症要因が、このHTRA1の発現の亢進を引き起こし、これが視細胞死を引き起こすこと。そして、この発現亢進により、ヒト加齢黄斑変性と同様の表現型を示すこと示した。
その下流としてTGFβシグナルについてRh1::HTRA1トランスジェニック魚視細胞と正常魚視細胞における実際には5日目胚の眼球の比較によりTGFβisoforms、TGFβ precursor およびlatency associated peptide (LAP)の発現量の差を免疫組織化学において確認し、TGFβシグナルがし視細胞死と関連していることを示した。次に実際の病態(加齢黄斑変性)に直接かかわる病態としてこのモデル動物の眼球において、発生時より血管新生関連分子VEGFs およびそのレセプターの発現が上昇していることが示された。これはHTRA1関連でVEGFが生体で上がったという貴重な報告であると考える。ただし、この発現は老年期においては減少していた。しかし、このモデル動物では老年期に入る前に視細胞死のために視細胞数が極端に減少することも示された。VEGFは視細胞が主な供給源であることは広く知られるところであり、これによりモデルでの発現が低下したのは、ヒト病態とも矛盾しないものと考える。されなる解析のため、HTRA1のノックアウト魚を開発しており、現在F1において生殖細胞列に挿入されていることを確認した。ノックアウト体、強制発現体双方において網膜のmRNAを抽出して、mRNA seqによる下流分子の探索を行おうとしている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

HTA1についてはその下流にTGFβのシグナル経路の毛および、Akt-FOXO3の系が視細胞死に関連があることをしめし、これらの結果は学術雑誌への論文掲載するに至った。(Am. J. Pathology) この研究においては、CRISPRによるHTRA1のノックアウト魚、および、HTRA1の活性中心を破壊したHTRA1強制発現魚をを作成しその表現型解析を行っている。
また、これも31年度の予定であったが、さらにERp44介した視細胞死を検討した。我々はまず、視細胞におけるIP3 受容体の発現をRT-PCR,免疫組織化学を用いて解析し、視細胞においてERp44 のターゲットであるIP3R1の発現があることを確認した。
HTRA1関連においてノックアウト魚を作成しており、それを用いた網羅的遺伝子解析を計画している。

今後の研究の推進方策

今後の検討としては
1HTRA1に関してはHTRA1ノックアウトが作出されているので、これについてホモ接合体の魚を作成し、HTRA1 transgenicとも含めこの眼球、網膜よりRNAを抽出し mRNA seqを用いて、下流のシグナルを検討する。
2.HTRA1::EGFPおよびHTRA1::lucトランスジェニック魚を作成しており、酸化ストレス状態など病態と関係があるストレス下においてこれらのマーカーの発現量を調べることで、その関連を改めて明らかにするとともに定量化を行い、治療法の開発のためのスクリーニング系を確立する
3.一般の視細胞死、および、網膜色素変性症における視細胞死との関連を検討するために網膜色素変性の原因遺伝子変異を持つロドプシン変異体のトランスジェニック魚と上記のHTRA1ノックアウト、および、HTRA1::EGFPおよびHTRA1::lucトランスジェニック魚と交配し、表現型回復を目的とした解析を行う。また、その際における1において明らかになったHTRA1の下流分子の発現状況をモニターする
4.酸化ストレスとIP3Rと視細胞死の関連、および網膜色素変性におけるその系の検討のためにIP3RやERp44のノックアウト魚を作成しており、これらについての表現型解析を行うのと共に、網膜色素変性モデル魚との交配を行い、網膜色素変性症における酸化ストレスと視細胞死の関係について明らかにしていく

次年度使用額が生じた理由

mRNA seqを行うためのRNA収拾についてHTRA1ノックアウトを含めることとしたため

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [国際共同研究] 香港中文大学(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      香港中文大学
  • [雑誌論文] Association of the CAV1‐CAV2 locus with normal tension glaucoma in Chinese and Japanese2020

    • 著者名/発表者名
      Lu Shi Yao、Rong Shi Song、Wu Zhenggen、Huang Chukai、Matsushita Kenji、Ng Tsz Kin、Leung Christopher K.S.、Kawashima Rumi、Usui Shinichi、Tam Pancy O.S.、Tsujikawa Motokazu、Young Alvin L.、Zhang Mingzhi、Wiggs Janey L.、Nishida Kohji、Tham Clement C.、Pang Chi Pui、Chen Li Jia
    • 雑誌名

      Clinical & Experimental Ophthalmology

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      doi: 10.1111/ceo.13744

  • [雑誌論文] Identification of TIE2 as a susceptibility gene for neovascular age-related macular degeneration and polypoidal choroidal vasculopathy2020

    • 著者名/発表者名
      Chen Zhen Ji、Ma Li、Brelen Marten E、Chen Haoyu、Tsujikawa Motokazu、Lai Timothy Y、Ho Mary、Sayanagi Kaori、Hara Chikako、Hashida Noriyasu、Tam Pancy OS、Young Alvin L、Nishida Kohji、Tham Clement C、Pang Chi Pui、Chen Li Jia
    • 雑誌名

      British Journal of Ophthalmology

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      doi: 10.1136/bjophthalmol-2019-315746

  • [雑誌論文] Correlation Between Angle Parameters and Central Corneal Thickness in Fuchs Endothelial Corneal Dystrophy2020

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Shinya、Oie Yoshinori、Miki Atsuya、Soma Takeshi、Koh Shizuka、Kawasaki Satoshi、Tsujikawa Motokazu、Jhanji Vishal、Nishida Kohji
    • 雑誌名

      Cornea

      巻: 39 ページ: 540~545

    • DOI

      doi: 10.1097/ICO.0000000000002220

  • [雑誌論文] A novel mutation in gelatinous drop-like corneal dystrophy and functional analysis2019

    • 著者名/発表者名
      Nagahara Yukiko、Tsujikawa Motokazu、Takigawa Toru、Xu Peng、Kai Chifune、Kawasaki Satoshi、Nakatsukasa Mina、Inatomi Tsutomu、Kinoshita Shigeru、Nishida Kohji
    • 雑誌名

      Human Genome Variation

      巻: 6 ページ: in press

    • DOI

      doi: 10.1038/s41439-019-0060-z

  • [雑誌論文] KLF4 prevents epithelial to mesenchymal transition in human corneal epithelial cells via endogenous TGF-β2 suppression2019

    • 著者名/発表者名
      Fujimoto Satoko、Hayashi Ryuhei、Hara Susumu、Sasamoto Yuzuru、Harrington Jodie、Tsujikawa Motokazu、Nishida Kohji
    • 雑誌名

      Regenerative Therapy

      巻: 11 ページ: 249~257

    • DOI

      doi: 10.1016/j.reth.2019.08.003

  • [雑誌論文] Homeostasis of SLC4A11 protein is mediated by endoplasmic reticulum-associated degradation2019

    • 著者名/発表者名
      Hara Susumu、Tsujikawa Motokazu、Kawasaki Satoshi、Nishida Kohji
    • 雑誌名

      Experimental Eye Research

      巻: 188 ページ: 107782~107782

    • DOI

      doi: 10.1016/j.exer.2019.107782

  • [雑誌論文] Identification and application of p75 neurotrophin receptor-expressing human trabecular meshwork progenitor cells2019

    • 著者名/発表者名
      Hara Susumu、Tsujikawa Motokazu、Nishida Kohji
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 514 ページ: 580~585

    • DOI

      doi: 10.1016/j.bbrc.2019.04.178

  • [学会発表] 視細胞におけるHTRA1の発現と加齢黄斑変性への影響2019

    • 著者名/発表者名
      Tsujikawa M
    • 学会等名
      日本眼循環学会
  • [学会発表] 加齢黄斑変性の初期病変の解析2019

    • 著者名/発表者名
      Tsujiakwa M
    • 学会等名
      第24回日本病態プロテアーゼ学会学術集会
  • [学会発表] Workshop ( REGENERATIVE MEDICINE BASIC TO ADVANCE )2019

    • 著者名/発表者名
      Tsujikawa M
    • 学会等名
      REMOCON 2019, International Conference of Molecular and Regenerative Medicine
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Development of Stem Cell-Based Therapy for Corneal Diseases2019

    • 著者名/発表者名
      Tsujikawa M
    • 学会等名
      REMOCON 2019, International Conference of Molecular and Regenerative Medicine
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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