研究実績の概要 |
前年度に引き続き、フマル酸ジメチル(DMF)、フマル酸者メチル(MMF)を視神経挫滅後、それぞれ連日経口投与、腹腔内投与を行い、挫滅7日後における網膜神経節細胞(RGC)の生存促進効果を検討した。最終的にDMFの投与濃度は、25, 50, 100, 150mg/kg、MMFは25, 50, 100, 200mg/kgとなった。視神経挫滅7日後のRGCの細胞密度は1583±30 mm2まで減少するが、DMF, MMFともに濃度依存性にRGC細胞密度は上昇し、100mg/kg投与時の細胞密度が最も高かった。DMF100mg/kg群では細胞密度は2176±87mm2、MMF100mg/kg群では2043±80mm2となり、両vehicle群と比較し有意に上昇していた。次に、DMF、MMFの最もRGC生存促進効果の得られた濃度(100mg//kg)において、Nrf2の発現変化を免疫組織化学染色、ウエスタンブロッティングを用いて検討した。挫滅7日目において、DMF,MMF投与群ともにNrf2タンパク発現は上昇し、網膜内層においてその発現が亢進していた。さらに、Keap1/Nrf2を介して発現上昇する抗酸化酵素群の一つであるHeme oxygenase-1(HO-1)の発現変化を免疫組織化学染色を用いて検討したところ、DMF, MMF投与群ともに網膜内層を中心に明らかに発現亢進していた。今回の結果より、DMF,MMFの連日投与により、視神経挫滅後のRGCの生存は促進され、その効果は両薬剤ともに100mg/kgであった。
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