研究課題/領域番号 |
17K11452
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
林 康人 愛媛大学, 医学部, 研究員 (70314953)
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研究分担者 |
白石 敦 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90314963)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 角膜実質 / ケラトサイト / バイオイメージング / 再生医療 / Fucci / 遺伝子組み換えマウス |
研究実績の概要 |
菲薄化した角膜実質は角膜穿孔を招き、失明の危険がある。我々が考案した骨髄線維芽細胞の角膜実質内注入はケラトサイトのマーカーであるケラトカンの発現を得ることができ、角膜移植に代わる治療法である。今回の研究では、角膜実質に注入された骨髄線維芽細胞がケラトサイトに変化すると細胞膜の蛍光が深赤から、青に変化し、さらに細胞分裂期の核を緑蛍光、細胞増殖停止期の細胞を赤に提示することで、細胞の分化で増殖、細胞の形態を同時に捉えることで、今まで不足していた臨床応用への知見の拡大を図ることを目的に実験を行っている。まず、Cre発現で、細胞膜の蛍光が深赤から、青に変化するROSA26miRFP670/mTagBFP (ROSA26mR/mB)をES細胞への遺伝子標的法を経て、ROSA26mR/mBノックインマウスを作製する。作製したマウスを、以前作製したKeratocan-IRES2-nls-Cre(Keratocan-Cre)ノックインマウス、ROSA26 (CAG -loxP -pgkNeo -loxP -mVenus -hGeminin (1-110) -IRES2 -mcherry - hCdt1 (30-120)(ROSA26FUUCI2)ノックインマウスと交配してKeratocan-Cre / ROSA26FUUCI2 / ROSA26mR/mBのコロニーを維持し、10%FCS‐DMEM-F12で骨髄幹細胞を培養し、角膜実質内に注入して共焦点顕微鏡で観察する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Keratocan-IRES2-nls-CreノックインマウスとROSA26mT/mGによる交配により得られた、Keratocan-IRES2-nls-Cre /ROSA26mT/mGのケラトサイト特異的なバイオイメージングを行い、アルカリ外傷、角膜全層切開、上皮欠損などの角膜実質損傷モデルを作製し、実質細胞の形態を中心としたデータ集積を行った。さらに、細胞周期のバイオイメージングを可能にするsingle allele組織特異的Fucci2(G1) (S/G2/M)マウス:ROSA26 (CAG -loxP -pgkNeo -loxP -mVenus -hGeminin (1-110) -IRES2 -mcherry - hCdt1 (30-120) を用いて、角膜実質損傷モデルのケラトサイト増殖の状態を経時的に観察して、ケラトサイトが増殖するための条件を検討した。上皮被覆後の再増殖では局所で増殖周期の細胞の比率が高く、増殖環境が重要であることが示唆された。骨髄線維芽細胞の移植と増殖周期のイメージングを両立させるべく、青蛍光のCreレポーターマウス(ROSA26mR/mB)の作製した。このシステムでは骨髄線維芽細胞がケラトサイトに分化すると、深赤蛍光から青蛍光に変化しホストのケラトサイトとの関係を解析できるのと同時にROSA26 (CAG -loxP -pgkNeo -loxP -mVenus -hGeminin (1-110) -IRES2 -mcherry - hCdt1 (30-120)と組み合わせることで、細胞増殖も観察できる画期的なものであるが、現時点で、実験は継続中であり、骨髄線維芽細胞増殖周期とケラトサイト分化の関係、ホストのケラトサイトと移植骨髄線維芽細胞との関係を解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
Keratocan-Cre / ROSA26FUUCI2 / ROSA26mR/mBの各週齢(3週、6週、9週、12週、24週)ごとの骨髄細胞を10%FCS‐DMEM-F12で3継代し、角膜実質に10000個(0.5μL)注入して2週間後に観察する。骨髄由来線維芽細胞の増殖、分化と宿主のケラトサイトとの細胞間の接着を共焦点顕微鏡で観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
Keratocan-Cre / ROSA26FUUCI2 / ROSA26mR/mBのコロニー作製に時間を要したため、研究に少し遅れており、マウス飼育費用やバイオイメージング費用を持ち越したため。
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