菲薄化した角膜実質は角膜穿孔を招き、失明の危険がある。我々が考案した骨髄線維芽細胞の角膜実質内注入はケラトサイトのマーカーであるケラトカンの発現を得ることができ、角膜移植に代わる治療法である。本研究は、角膜実質に注入された骨髄線維芽細胞がケラトサイトに変化すると細胞膜の蛍光が深赤から青に変化し、さらに細胞分裂期の核を緑蛍光、細胞増殖停止期の細胞を赤に提示することで、細胞の分化で増殖、細胞の形態を同時に捉えることができるバイオイメージングのシステム構築を第一の目標とした。理化学研究所の支援のもとでC57BL6由来ES細胞にROSA26miRFP670/mTagBFP (ROSA26mR/mB)を遺伝子標的法で組換えし、Cre発現で細胞膜の蛍光が深赤から、青に変化するROSA26mR/mBノックインマウスを作製した。ROSA26 (CAG -loxP -pgkNeo -loxP -mVenus -hGeminin (1-110) -IRES2 -mcherry - hCdt1 (30-120)(ROSA26FUUCI2)(Cre発現細胞の核で細胞分裂期を緑蛍光(mVenus)、細胞増殖停止期を赤蛍光(mcherry)に標識)とKeratocan-Cre(ケラトサイトでCre発現)に交配して得られた、Keratocan-Cre / ROSA26FUUCI2 / ROSA26mR/mBマウスより、骨髄培養細胞を4継代培養したのち、C57BL6バックグラウンドのKeratocan-Cre / ROSA26mT/mG (6週齢雄)の角膜実質に細胞を注入してから、角膜実質を継時的に共焦点顕微鏡で観察すると、移植した骨髄細胞がケラトカンを発現していること、周りに存在するホストのケラトサイトと細胞膜で接していること、移植した骨髄細胞が増殖していることが観察できた。
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