研究課題
加齢黄斑変性 (AMD)は、視力予後が不良の難治性疾患で、失明原因の上位を占める疾患群であり、高齢化社会が進行中の我が国をはじめとした先進国において、成人の失明や視力低下の主因となっている。近年VEGFを標的とした薬剤が開発され臨床応用されているが、根治的な治療法ではなく、継続的な治療が必要である。AMD 増悪期に見られる CNV に伴う出血や滲出性変化は、網脈絡膜組織を障害し、障害された組織はやがて線維化・瘢痕化を起こす瘢痕期と呼ばれる病態へと移行していく。一旦黄斑が線維瘢痕化す ると抗 VEGF 療法も適応とならず、現時点では視力を改善させる有効な治療法がない。そのため 増悪期に対する VEGF 以外の分子を標的とする治療法の開発、さらには瘢痕期への移行を防ぐ治 療法の開発は臨症上重要な課題である。制御性T細胞のCNV形成への影響を検討するために、C57/BL6 マウスを用いたレーザーCNVモデルマウスを作成し、フローサイトメトリーを用いて炎症励起後眼内に浸潤してきたT細胞のうち制御性T細胞の割合を検討した。現在は、マウス網膜下瘢痕形性モデルを用いて制御性 T 細胞の瘢痕形成への影響について検討を行った。線維瘢痕化症例の臨床的特徴の検討を行うため、治療開始後 3 ヶ月後、12 ヶ月後、24 ヶ月後における線維化、および萎縮の発症率を検討し、線維化に おける治療前の臨床所見、視力、中心窩網膜厚、CNV の臨床的タイプ、年齢、QOL,罹患期間、網膜病変 領域等の患者背景因子により層別解析を行うために、データベースを構築を行った。その結果、OCTにおけるSHRMと呼ばれる高信号領域の存在(CNV、fibrosis、出血を含む)が独立した危険因子であった。またベースラインにおける出血の存在が後の萎縮病変をもたらしやすいことがわかった。
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PLoS One
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Graefe's Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology
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https://doi.org/10.1007/s00417-019-04361-8