研究実績の概要 |
RPEは視細胞外節を貪食し網膜組織環境の恒常性を維持する。外的ストレスで貪食能が低下するとドルーゼン(老廃物)が網膜下に蓄積する。我々は脈絡膜浸潤マクロファージ(Mps)によるRPEの本恒常性維持機能の破綻がAMD早期病態の一端を担うことを報告した(2016年, IOVS)。組織炎症では貪食能を有するMpsがGlycolytic Mpsに転換し組織障害が起こる。随伴する低酸素環境下でOXPHOS傾斜Mpsにリプログラムされ血管新生や瘢痕形成を招来する。Mps/RPE共培養系において、前炎症性サイトカインIL-6, IL-8, MCP-1やVEGF産生が増強され、本作用の一部はMps産生TNF-αにより担われる。このTNF産生は未変性RPEにより抑制されるが、RPEがMDAなど酸化脂質に修飾さると本抑制効果は消失する。昨年度に続き2019年度はRPE→Exosome→Mps→TNF-α→RPE→MCP-1, IL-6, VEGFの炎症増悪回路について、①RPE から産生されるExosomeの作用特性を最終確認した、特に、産生される細胞外微粒子の量的変化が、本細胞間相互作用のどの範囲に及び説明しうるか、MTAを駆使して検討した。更に、此の知見がマウス系に留まらずヒト系にも普遍的であるか、ヒトiPS細胞由来RPEとTHP細胞からPMA処理で分化させたMpsとの共培養系で確認した。共培養由来Exosome (Exo)は共培養系でのVEGF産生増強には部分的寄与に留まり、全面的に依存するMCP-1, IL-6産生と異なることが水平方向のカルチャーインサート系〔NICO1〕実験で判明した。また、ヒトの共培養系で産生増強されるExosome系に含まれるmiRNAを3D-geneで網羅的に検索し、共培養で著明に産生が低下するRPEの産生するExosome中のmiRNAを同定した。
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