我々は羊膜由来間葉系細胞が羊膜の持つ効果にどのように影響を与えているか明らかにするため、in vitro上皮創傷治癒モデルへの影響を観察し、羊膜由来間葉系細胞にも創傷治癒促進効果があることを報告した。本研究においてこれまでに、羊膜由来間葉系細胞を分離・培養し、その解析を行うと共に、羊膜由来間葉系細胞の培養上清を点眼または結膜下注射することにより、ウサギ創傷治癒モデルにおける上皮化への効果を観察した。昨年度は、一昨年度同様にウサギ角膜上皮欠損モデルに対する羊膜由来間葉系細胞培養上清の効果を観察した。本年度においても昨年度の結果を確認するため、再度羊膜由来間葉系細胞培養上清の効果について検討した。当院の羊膜バンクより供給された羊膜から間葉系細胞を分離・培養し、その培養上清を用いてin vivo実験を検討した。In vivo創傷治癒モデルはウサギ角膜中央部に8mmトレパンで上皮欠損を作成したものを使用した。羊膜もしくは羊膜由来間葉系細胞の培養上清ならびに培養前の培地をコントロールとして、ウサギ創傷治癒モデルへ点眼または結膜下注射し、上皮化過程を経時的に観察した。AMMCsの培養上清点眼回数を増加させることにより、ウサギ創傷治癒モデルにおける上皮化が有意に促進された。一方、結膜下注射においては、ウサギ創傷治癒モデルにおける上皮化を促進する傾向は観察されたが、有意な差は見られなかった。昨年度同様の結果が得られたことから、羊膜の持つ創傷治癒促進効果は羊膜に存在する間葉系細胞が一部役割を担っている可能性が考えられた。また、これらのデータはまとめて論文として報告した。
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