研究課題/領域番号 |
17K11479
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
彦谷 明子 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (80464113)
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研究分担者 |
佐藤 美保 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (50252242)
細野 克博 浜松医科大学, 医学部, 助教 (60402260)
堀田 喜裕 浜松医科大学, 医学部, 教授 (90173608)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 慢性進行性外眼筋麻痺 / ミトコンドリア / 遺伝子診断 |
研究実績の概要 |
斜視手術は外眼筋の手術治療によって一般的には良好な成績を修めているが、慢性進行性外眼筋麻痺(Chronic Progressive External Ophthalmoplegia:以下、CPEO)のように手術治療によっても予後不良の疾患を含んでいる。CPEOの確定診断には筋肉の生検により病理学的に行われているが、侵襲が大きく外来診療の中で行うことは容易ではない。ミトコンドリアDNAの欠失を伴うことも多いが、白血球からは欠失が検出されることは少なく、口腔粘膜からのDNA検査が注目されている。われわれはCPEOの疑われる患者において、遺伝子診断を試みて、簡易診断の可能性について報告している。本研究は、症例数を増やし、口腔粘膜、白血球、外眼筋等、種々の検体に対して簡易に診断可能な遺伝子診断法の開発を行う。 本年度は浜松医科大学を受診したCPEOが疑われる12症例に対して検体(口腔粘膜細胞または血液)を提供頂き、ロングPCR法によりミトコンドリアDNAの欠失の有無を検討した。結果、1例よりミトコンドリアDNAの欠失を検出した。確定診断の得られた1症例については細隙灯顕微鏡検査、眼底検査の他、眼位、眼球運動、立体視について詳細な検査を行う。欠失を同定出来なかった症例については原因変異を同定する為、既報告のCPEOの原因変異遺伝子(POLG、TWNK、SLC25A4など)について変異解析を検討する。また、口腔粘膜細胞からのDNA抽出については現手法ではDNAの収量が少なく精製度が低い為、新たな抽出法も検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当院にて斜視手術を希望した内転障害と眼瞼下垂を伴う斜視患者を対象とした。明らかにCPEOの疑われる症例のみでなく、眼瞼下垂が比較的軽度な症例を含めて検討した。 インフォームドコンセントの上で、口腔粘膜細胞または血液からそれぞれDNAを抽出した。 血液の場合は7ml採血し、QIAamp DNA Blood Midi Kit(QIAGEN社)を用いてDNAを抽出した。口腔粘膜細胞の場合は頬粘膜を擦過しBuccal Cell DNA Extraction Kit (TrimGen社)を用いて口腔粘膜細胞からDNAを抽出した。各患者のDNA約20ngをロングPCR法に用いた。ミトコンドリアDNAの塩基配列はGenbankのアクセッション番号NC_012920を参照した。ミトコンドリアDNAの欠失領域(m.8470-m.13447, m.9649-m.15983)を含むm.4621-m.16449領域を増幅するプライマー、Forward プライマー: 5`- GTTCCACAGAAGCTGCCATCAAGT -3’(m.4621-m.4644)Reverse プライマー: 5`- GAGGAGAGTAGCACTCTTGTGCG -3’(m.16427-m.16449)を使用し、ミトコンドリアDNAの欠失の有無を検討した。結果、12症例の内、1例よりミトコンドリアDNAの欠失を同定した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きCPEO症例の収集を行う。新たに収集する検体は可能な限り血液と口腔粘膜細胞の両検体を収集する。 口腔粘膜細胞からのDNA抽出については現手法ではDNAの収量が少なく精製度が低い為、新たな抽出法を検討する。 確定診断の得られた症例については細隙灯顕微鏡検査、眼底検査の他、眼位、眼球運動、立体視について詳細な検査を行う。 欠失を同定出来なかった症例については原因変異を同定する為、既報告のCPEOの原因変異遺伝子(POLG、TWNK、SLC25A4など)について変異解析を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究消耗品の調達に際し、予定額より安価で購入できた為28324円の繰越金が生じた。
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