研究課題
慢性進行性外眼筋麻痺(CPEO)は眼瞼下垂と外眼筋麻痺を特徴とする疾患群である。CPEOはミトコンドリアDNA(mtDNA)の欠失を伴う事が多い事から本研究は、口腔粘膜、白血球、外眼筋等、種々の検体に対してmtDNAの欠失を検出できる遺伝子検査を検討した。本年度は浜松医科大学を受診したCPEOが疑われる2症例の遺伝子診断を行った。症例1からは血液と唾液を頂き、症例2からは血液、唾液、斜視手術から得られた筋検体を提供頂いた。結果、症例1からはmtDNAの欠失は検出されなかったが、症例2の筋由来の検体からmtDNAの欠失を検出した。また、本研究内でmtDNAの欠失が同定できた眼瞼下垂・眼球運動制限と共に眼球突出を主訴とするCPEOの2症例について詳細に臨床像を調査して報告を行った。症例詳細は下記の通り。症例A、12歳女児。10歳頃より左眼瞼下垂が目立ってきたため、他院眼窩形成外科を受診した。左眼球突出、非特異的な眼球運動制限のため、甲状腺眼症と重症筋無力症(MG)が疑われ精密検査をうけたが、診断がつかず当院紹介となった。初診時の視力は両眼ともに1.5 (n.c)、左眼瞼下垂、左眼球突出を認め、眼球運動制限は右眼が上転(-1)、内転(-1)、左眼が上転(-1)、下転(-2)、内転(-2)であった。症例B、15歳男児。12歳頃より両眼瞼下垂、眼球突出が出現した。甲状腺眼症が疑われ小児科を受診したが原因不明であった。眼球運動制限が出現したため、当院へ紹介された。初診時の視力は両眼ともに1.5 (n.c)、両眼瞼下垂、両眼球突出(ヘルテル:右22mm、左19mm)および全方向に眼球運動制限を認めた。CPEOに眼球突出を認めた報告はこれまで国内では1例のみで一般的には認識されていない。本研究により眼球突出はCPEOの1症状である可能性を示唆した。
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眼科臨床紀要
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