研究課題/領域番号 |
17K11481
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
井上 幸次 鳥取大学, 医学部, 教授 (10213183)
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研究分担者 |
宮崎 大 鳥取大学, 医学部附属病院, 准教授 (30346358)
佐々木 慎一 鳥取大学, 医学部, 助教 (30745849)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 単純ヘルペスウイルス / 水痘帯状疱疹ウイルス / サイトメガロウイルス / 細菌 / ステロイド / サイトカイン / real-time PCR |
研究実績の概要 |
感染性角膜炎臨床例の病巣における起因微生物の量的把握を行っているが、その中で水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)について解析を行った。ヘルペスウイルス感染を疑われ、real-time PCRにて眼表面のVZV-DNAコピー数を測定した角膜炎症例545例を解析対象とした。内訳は男性283例、女性262例、平均年齢 56.1±23.1歳。臨床所見と予後、real-time PCRによるVZV-DNAコピー数を logistic regression analysis、cox proportional hazard model、receiver operating curve (ROC) characteristic analysisにより解析した。 545例のうち38眼(6.9%)がVZV角膜炎と診断された。そのDNAコピー数は有意にVZV角膜炎との診断と相関しており、3390と高いオッズ比を示した。VZV DNAコピー数の診断的正確性はROC解析でのAUCが0.92であること、VZV感染と関係なくVZV-DNAが検出されることがひじょうにまれ(0.2%)であることによって示された。臨床所見とVZV-DNAコピー数が帯状疱疹後の予後とどう関係するか検討した所、VZV-DNAコピー数が多い場合、再発歴がある場合、虹彩炎を伴っている場合に、病期が有意に延長した。また、VZV-DNA量は病期を延長させるリスクとなっていた(ハザード比0.17)。VZV-DNAコピー数の評価は、VZV角膜炎の診療において有用と考えられた。 感染性角膜炎に対するステロイドの影響を見るために以下の2つのスタディを計画し、症例のエントリーを開始した。 1.細菌性角膜炎におけるステロイド点眼の使用及びその時期に関する探索的研究 2.実質型角膜ヘルペスにおける治療薬投与休止の指標に関する探索的研究
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
真菌のreal-time PCRの信頼性が低く、解析が遅れている。
感染性角膜炎についてステロイド使用の影響を見るスタディについては平成29年度の開始となり、計画より少し早くはじめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
真菌のreal-time PCRについては、真菌が培養で検出されてもDNAが検出されない場合がある一方で、臨床的に真菌と考えにくい症例で検出され、また、重症例と軽症例でコピー数に差があまりないなど、なかなか臨床的有用性が実感できていない。プライマーやPCRの方法を模索してみるが、場合によっては真菌はこの研究の対象外とすることも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
少額のため、適当な使用対象がなかったので残余したが、次年度の予算と合わせれば使用することができる。
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