研究課題
感染性角膜炎臨床例の病巣における起因微生物をreal-time PCRによって量的把握し、その診断における有用性について検討した。VZV DNAコピー数の診断的正確性は、検査の特異度と感受性を同時に判定するReceiver Operating Characteristic (ROC)解析でのarea under the curve (AUC)が0.92であること、HSVと異なり、VZV感染と関係なくVZV-DNAが検出されることがひじょうにまれ(0.2%)であることによって示された。CMV眼感染症を診断する上でもっとも有効な項目は前房内CMV DNA定量であった。CMV DNA量は、角膜内皮炎型、前部ぶどう膜炎型、網膜炎型ともにAUCが それぞれ 0.95,0.96, 1.0となり、いずれの病型においてもすぐれた有効性を示した。細菌性角膜炎のROC解析では細菌をブロードに検出する16S rDNA real-time PCR は0.67のAUCを示し、培養と組み合わせると0.81のAUCを示した。以上のようなreal-time PCRの結果をAIによる感染性角膜炎診断に使用できないか検討し、臨床所見とともにDNAコピー数を使用することで、診断の精度を高めることができた。ステロイド使用の影響についてはHSV角膜炎において、ステロイド点眼とアシクロビル眼軟膏の併用治療を中止した症例の涙液を経時的に採取し、種々のサイトカインとウイルス量を調べた結果、サイトカインの検出には一定の傾向は認めず、ウイルスDNAの検出が再発と関連していることが示唆された。細菌性角膜炎に対するステロイド使用については、そもそも感染時のホスト側の分子の動きについての知見が少なく、今後はそれを病巣サンプルのRNAを解析することで把握した上で、ステロイド使用による影響へと研究を進めていく予定である。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (9件)
Jpn J Ophthalmol
巻: 65 ページ: 107-114
10.1007/s10384-020-00788-3
巻: 64 ページ: 37-44
10.1007/s10384-019-00703-5
巻: 64 ページ: 423-428
10.1007/s10384-020-00746-z
Sci Rep
巻: 10 ページ: 12595
10.1038/s41598-020-69554-2
日眼会誌
巻: 124 ページ: 155-184
臨床眼科
巻: 74 ページ: 531-533
日眼医師会雑誌
巻: 149 ページ: 1221-1225
日本の眼科
巻: 91 ページ: 1619-1623