研究課題/領域番号 |
17K11482
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
木内 良明 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 教授 (40214738)
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研究分担者 |
竹中 丈二 広島大学, 病院(医), 講師 (70526194) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 緑内障 / 角膜剛性 / バイオメカニクス |
研究実績の概要 |
平成29年度と30年度の計画を並行して行った。と同時に測定プログラムの変更に伴うデータの再解析を行った。 2017年に白内障手術後に角膜剛性パラメータが変化することを我々は報告した。(Kato Y, et al. PLoS One. 2017 Feb 21;12(2):e0171941)ORAもCorvis STもバージョンアップしてより多くのパラメータを得ることができるようになった。同じデータセットを用いて新たなパラメータの有用性を検討した。その結果、術後に変化したパラメータの中には早期に術前と同じように戻るパラメータと、3か月たっても戻らないパラメータがあること。今回はいずれの眼圧測定値も術後は下降したことが確認できた。(Hirasawa K. et al. Am J Ophthalmol 2018;195:26;8211;35.) 眼圧測定時に変形した角膜の量、眼内に蓄えられたエネルギー量(highest concavity energy; HCE)と視野障害の進行速度の関係を検討した。最低8回の信頼できるハンフリー視野測定が行われた70名108眼を対象とした。その結果、HCEは眼球の全体的な後方変位が少ない眼では視野障害の進行速度と相関することが分かった。(Aoki S. et al. 2018; PLoS ONE 13(9): e0204451.) 視神経乳頭を挟んだ網膜血管の角度は眼軸長だけでなく、Ocular Response Analyzerの新しいパラメータ(aindex, w2, and slew1)を用いると数学的に良く表現できることが分かった。近視患者の眼底変化は眼球の剛性が関与すると言える。(Asano S. et al. Transl Vis Sci Technool. 2019 Apr 9;8(2):15)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非接触型眼圧計で得られる眼球剛性のパラメータと視野障害の進行速度、緑内障に伴う眼底の変化の関係を明らかにすることが本研究の最終目的である。予定した4つの研究の進捗状況は以下のごとくである。1)視野障害の進行速度と剛性パラメータの関係を明らかにする。に関しては既に論文化が行えている。2)視神経乳頭形状と剛性パラメータの関係をみる。この研究はデータの集積が終わり、解析を行っている最中である。 3)眼軸長が眼球剛性と視神経乳頭を挟んだ網膜血管やcpRNFLのピーク角度に及ぼす影響を検討する。研究実績の概要でも述べたように一つの論文として報告している。 視神経乳頭の形状と大きさの研究は一段落した。論文投稿中である。4)視神経乳頭部篩状板の厚さと眼球剛性パラメータの関係を知る。 薬物治療で角膜の剛性が変化することが知られている。点眼治療を受けていない症例を少しずつ集めているが、進捗速度は速くない。研究題目4)以外は順調に進捗していると言える。測定機器のプログラムが変更されたことによって、新たな作業が発生している。そのため少し進捗が遅れる可能性もある。粛々と作業を進めるしかない。
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今後の研究の推進方策 |
現在、緑内障術前後の眼球剛性の変化に関する研究を行っている。この研究からは眼圧に影響されない眼球パラメータを得ることができる。そのパラメータが分かれば、眼圧レベルと関係なく、視野障害の進行危険パラメータを知る研究につながる。 眼圧以外の緑内障の危険因子として、血流の影響は無視できない因子である。レーザースペックル法を用いて非侵襲的に血流を評価することも可能になってきた。血流のパラメータと剛性パラメータを組み合わせて、緑内障性視神経障害の進行予測を可能にする方法を探っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
空気式眼圧計ライカート社製・ORA (一式×リース料月額@130) 年間 130×12=1560をリースせずに研究が進行した。しかし、次年度はこの眼圧計が必ず必要になる。リース期間が最小限度になるように研究計画を立てて、有効に研究費を使いたい。
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