研究課題/領域番号 |
17K11484
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
白石 敦 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (90314963)
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研究分担者 |
小林 剛 愛媛大学, 医学系研究科, 寄附講座講師 (70380285) [辞退]
三谷 亜里沙 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (60648096)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 角膜上皮 / 表皮細胞 / 角膜輪部 / 形質転換 |
研究実績の概要 |
角膜上皮の再生医療は他分野に先駆け臨床応用が行われ、かつて難治とされた瘢痕性角膜疾患において良好な治療成績が報告されている。しかしながら、現状では他家角膜上皮または自家口腔粘膜上皮を用いた培養上皮移植にとどまり臨床的効果は限定的である。自己の表皮細胞から形質転換した角膜上皮細胞を用いることが可能となれば、限られた細胞源しかない角膜上皮再生治療に非常に有用と考えられる。我々は、角膜上皮特異的サイトケラチン(K12)の発現によりGFPを発現するK12Cre/ZEGマウスを作製し、角膜輪部実質上においてマウス表皮由来細胞から角膜上皮様細胞への形質転換が可能であることを明らかにしてきた。また、我々は輪部線維芽細胞で高発現を認める複数の候補因子を既に同定しているが、形質転換に関与する因子を決定するため、さらなる絞り込みが必要である。そこで本研究では、マウス表皮sp細胞、ヒト角膜実質線維芽細胞(HCF)、輪部実質線維芽細胞(HLF)の調製を行い、HCFまたはHLFを含むコラーゲンゲルを用いた三次元培養モデルの作製を行った。本培養モデルは、マウス表皮sp細胞から角膜上皮様細胞への形質転換の比較検討に利用可能であり、本培養モデルのゲル中線維芽細胞における各因子の発現を調べ、候補因子の絞り込みを行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、Wnt関連因子を始めとする輪部実質細胞由来因子が角膜上皮細胞への形質転換に及ぼす影響について明らかにすることを目的としている。そのため、検討に使用する細胞の調製、ならびに形質転換の培養モデルに関する種々の検討を段階的に行う必要がある。我々はこれまでに、表皮sp細胞が形質転換による角膜上皮再建に有用である可能性を示すと共に、輪部実質由来因子に着目してトランスクリプトーム解析を行い、上皮細胞の分化誘導に関与する可能性のある角膜輪部特異的因子の候補遺伝子について解析を進めてきた。候補遺伝子は分泌タンパク質のコード遺伝子(21種)、細胞外マトリクスの構成タンパク質のコード遺伝子(15種)を含んでいる。これらの因子がマウス表皮由来細胞の分化に与える影響について検討し、形質転換誘導因子の絞り込みを行うため、HCFまたはHLFを含むコラーゲンゲルを用いた三次元培養モデルの作製を行い、本培養モデルにおいて、表皮sp細胞での角膜上皮分化マーカー遺伝子の発現を定量的に解析出来ることをすでに明らかにした。現在、候補遺伝子の影響について形質転換に対する影響について検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
輪部実質細胞由来因子が角膜上皮細胞への形質転換に及ぼす影響について明らかにするため、現在、候補因子単独での影響について、培養モデルへの因子添加またはsiRNAによる発現抑制を行い、K12およびPAX6発現に及ぼす影響を定量的に解析中である。今後さらに、Wntシグナルの調節には同時に複数の因子が関与することも考えられることから、複数因子の組み合わせによる影響について検討する予定である。さらに、高率に形質転換を認めた条件において、幹細胞マーカー、Wnt関連タンパク質、細胞間接着因子の局在を検討する。また、LGR5はWntシグナルのターゲット遺伝子であると共に成体幹細胞マーカーとしても知られていることから、LGR5陽性細胞をFACSにより分離し、そのクローン性コロニーにおける分化マーカーの発現を検討する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、解析及び試薬を使用した研究を行ってきたが、次年度も引き続き継続するために繰り越した。
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