研究課題/領域番号 |
17K11486
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
嶋澤 雅光 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (80381721)
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研究分担者 |
原 英彰 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (20381717)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 網膜神経節細胞 / 小胞体ストレス / 緑内障 |
研究実績の概要 |
緑内障に代表される網膜疾患において、その網膜神経節細胞死の機序については十分に解明されていない。申請者らは網膜神経節細胞死に小胞体ストレス負荷を介した機序が関与しているという仮説に基づき研究を進め、その網膜障害時に小胞体ストレスが誘導されることを初めて明らかにした。さらに、小胞体ストレス細胞死を抑制する遺伝子の解析から、強力な細胞保護作用を有する神経分泌タンパク質であるVGF nerve growth factor inducible (VGF)を見出した。そこで、培養網膜神経節細胞および実験的緑内障モデル動物を用いて網膜障害における各種VGF ペプチドの効果およびその機序を解明し、新規治療薬につなげることを目的として以下の実験を行う。①培養網膜神経節細胞を用いて、網膜神経節細胞変性過程における細胞死・軸索変性・軸索再生機構におけるVGF の関与を検討する。②6 種類以上報告されているVGFペプチドの網膜細胞保護活性を検証する。③全長VGF ペプチド配列から、より短鎖(低分子)のVGF活性配列を探索・同定、さらに細胞膜透過性修飾による眼内動態の改善により実験的緑内障モデルにおける有効性を検討する。初年度は、網膜視神経節細胞に対するVGF の直接作用を明らかにするために、ラット培養網膜神経節細胞及びヒト人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell:iPS細胞)より分化誘導した網膜神経節細胞を用いてVGFペプチドの作用を検討し、VGF556-576(TLQP21) 及びVGF588-617 (AQEE30)に神経突起伸長作用があることを明らかにした。本年度は、既知及び新規のVGF由来短鎖ペプチドの神経突起伸長作用を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題において、ヒトiPS細胞より分化誘導した網膜神経節細胞における新規及び既知のVGF由来短鎖ペプチドの神経突起伸長作用について検討し、予定通り下記の成果を得た。 ヒトiPS細胞より分化誘導した網膜神経節細胞において、検討した5種類のVGF由来短鎖ペプチドの全てに神経突起伸長促進作用が認められた。そのいくつかは脳由来神経栄養因子(BDNF)の神経突起伸長作用よりも強かった。
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今後の研究の推進方策 |
1. 神経突起伸長作用の強かった2種類のVGF由来短鎖ペプチドについてより詳細な神経突起伸長作用並びに網膜神経節細胞保護活性を検証する。また、ラット培養網膜神経節細胞に対する作用についても確認する。 2. さらに細胞膜透過性修飾による眼内動態の改善により実験的緑内障モデルにおける有効性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたVGF遺伝子導入マウスから採取した網膜神経節細胞の実験がさらに次年度に持ち越したため。平成31年度において、マウス及びラット培養網膜神経節細胞の摘出のために用いる動物の購入・維持、VGF由来単鎖ペプチドの合成及び透過性修飾、抗VGF抗体及び細胞培養に必要な消耗品等に使用する。
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