研究課題/領域番号 |
17K11492
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山上 聡 日本大学, 医学部, 教授 (10220245)
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研究分担者 |
崎元 暢 日本大学, 医学部, 准教授 (20465272)
中靜 裕之 日本大学, 医学部, 准教授 (10372997)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 角膜上皮幹細胞疲弊症 / 口腔粘膜上皮 / 角膜輪部上皮 / 家兎 |
研究実績の概要 |
両眼性角膜上皮幹細胞疲弊症患者の眼表面を自己口腔粘膜上皮組織移植により再建することを目標とした検討を行った。簡便な外科的治療法として口腔粘膜上皮組織を採取し、本人の眼表面に播種して角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を行う単純口腔粘膜上皮移植術を考案し、ウサギ角膜上皮幹細胞疲弊症モデル眼に対する眼表面再建効果を検討した。ウサギ角膜上皮幹細胞疲弊症モデル眼は、角膜実質上に直接自己口腔粘膜上皮組織片の基底層が接するように乗せてソフトコンタクトレンズで保護するのみで、完全に正常な上皮層が再建された。移植後に採取された組織は、免疫組織学的にも口腔粘膜上皮細胞に発現するサイトケラチン3,サイトケラチン13が陽性、未分化細胞マーカーのサイトケラチン15陽性、基底細胞マーカーのp63陽性で、眼表面の細胞は、移植された口腔粘膜上皮で間違いないものであった。本研究で開発した単純口腔粘膜上皮移植術は過去の組織移植で用いられた移植片縫合糸、接着剤および羊膜を使用しなかったが、術後の眼表面再建効果は既報と遜色のないものであった。単純口腔粘膜上皮移植術で再建された眼表面は、培養口腔粘膜上皮シート移植で再建された眼表面と同じ免疫組織化学的特徴を持っており、長期治療効果も同等となることが推測される。 我々の考案した単純口腔粘膜上皮移植術は、培養設備を持たない医療施設でも実施可能であり、従来の組織移植よりドナー組織量が少なく低侵襲であること、更に羊膜や接着剤の入手および移植片縫合の手技習得が不要であることから、患者および医療施設の両者にとって治療の負担が軽減されるものと考えられた。
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