研究課題/領域番号 |
17K11496
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
小嶌 祥太 大阪医科大学, 医学部, 講師 (10388259)
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研究分担者 |
杉山 哲也 大阪医科大学, 医学部, 講師 (20298764)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 緑内障 / 濾過手術 / 眼圧 / 瘢痕 / レゴラフェニブ / マルチキナーゼ阻害薬 |
研究実績の概要 |
【目的】レゴラフェニブはチロシンキナーゼやVEGF (vascular endothelial growth factor ) 受容体1~3などの受容体に阻害作用をもつとされるマルチキナーゼ阻害薬で強力な線維芽細胞増殖抑制作用が期待できる。そこで今回イヌ緑内障濾過手術モデル眼における眼圧、濾過胞形成に対する効果を調べた。 【対象と方法】対象はビーグル犬12匹12眼。全身麻酔下にて濾過手術モデル作製後, 2%レゴラフェニブ50μlを処置眼に、基剤を対照眼に1日2回4週間点眼し、眼圧と濾過胞形成を4週後まで測定、4週後に眼球を摘出し免疫組織学的検討を行った。 【結果】眼圧は術前の処置眼と対照眼に有意差がなく対照眼では有意な変化がなかったが、処置眼では2,4週後とも有意(p<0.05, paired t test) に眼圧が低下した。blebスコアは処置眼で有意に高かった。 結膜/強膜 面積比、コラーゲン密度は処置眼で有意に低かった。Vimentin、PCNA、αSMA、TGF-β陽性細胞数も処置眼で有意に低かった(各p= 0.02, 0.045, 0.004, 0.007, Mann-Whitney U test)。 【結論】濾過手術モデル眼作成後のレゴラフェニブ一日2回点眼により少なくとも4週後まで細胞増殖が抑制され、濾過胞形成および眼圧下降が維持された。これらの結果からレゴラフェニブ点眼は緑内障濾過手術に有効であることが示唆された。短期的なレゴラフェニブの効果が確認されたことから、今後 1)より長期の効果を確認 2)ハイドロゲルなどに包含させて徐放しより長期間作用させる3)術中に結膜下注射を行って一回の投与を行う 4)現在臨床使用されているマイトマイシンCとの効果および副作用の比較を行い、臨床応用への可能性を探ることとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
点眼実験は組織学的検討を含め時間がかかるが、ほぼ予定通り進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今回レゴラフェニブの4週間点眼にて眼圧下降及び濾過胞形成がより維持されることが分かった。今後はレゴラフェニブを濾過手術時に結膜下に一環注射を行って同様の実験を行いその一回投与での効果を確認し、その結果をみてから、ハイドロゲルなどに包含させて結膜下に挿入し徐放させることにより、より効果的で持続的な効果を得られるかを確認する。さらに、現材種リュとなっているマイトマイシンC術中結膜下曝露と比較してその効果と安全性を比較し、レゴラフェニブの緑内障濾過手術への臨床応用が可能かどうかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度において、濾過手術モデル眼作成後のレゴラフェニブ点眼により少なくとも4週後まで細胞増殖が抑制され、濾過胞形成および眼圧下降が維持されることが示された。これらの結果をふまえて、平成30年度は、1)より長期の点眼による効果を確認。2)ハイドロゲルなどに包含させて徐放しより長期間作用させたときの作用を確認。3)術中に結膜下注射を行った一回投与での確認を行う。4)現在 臨床使用されているマイトマイシンCとの効果および副作用の比較を行い、臨床応用への可能性を探る。という目的のために、実験動物であるイヌの追加購入や、ハイドロゲル、マイトマイシンCの購入、その他、さまざまな器材の購入のために 次年度使用額が必要となっている。
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