研究課題/領域番号 |
17K11498
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
鎌尾 浩行 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30388946)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ヒトiPS細胞 / 網膜色素上皮細胞 / 血管内皮細胞 |
研究実績の概要 |
ヒトiPS細胞由来網膜色素上皮細胞と臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の共培養:ヒトiPS細胞由来網膜色素上皮細胞とHUVECの共培養を行うため、トランスウェルのインサート側にヒトiPS細胞由来網膜色素上皮細胞を、培養皿側にHUVECを細胞播種し共培養を行った。ヒトiPS細胞由来網膜色素上皮細胞の培養に用いる2種類の培地(F10+10%FBS+1%PC/SMとDMEM/F12+B27+L-グルタミン、PC/SM)にて共培養を行ったところ、両細胞ともそれぞれの培地でコンフルエントとなり共培養可能であることが示された。 脈絡膜萎縮のモデル動物作製:脈絡膜萎縮モデル動物にを作製させる目的で、ヒトと同程度の大きさの眼球を有する有色ウサギに光線力学療法を施行した。光線力学療法の方法は、臨床で用いられているベルテポルフィン濃度とレーザー設定では脈絡膜萎縮を誘導することができなかったため照射時間を2倍(166秒)に変更し行った。レーザー照射1ヶ月後と3か月後にフルオレセイン造影検査にて網膜血管、インドシアニングリーン造影検査にて脈絡膜血管の血流状態を評価した。結果は網膜血管の血流状態に有意な変化は認めなかった。一方、脈絡膜血管はレーザー照射1ヶ月後において照射部位に一致した低蛍光を認たため、レーザー治療により脈絡毛細血管の血流が低下することが示された。さらにレーザー照射3ヶ月後においても同様の照射部位に一致した低蛍光を認たため、照射時間2倍(166秒)による光線力学療法はウサギ脈絡膜の血流低下を誘導することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトiPS細胞由来網膜色素上皮細胞と臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の共培養に成功し、光線力学療法にてウサギの脈絡膜血流障害を誘導することに成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトiPS細胞由来網膜色素上皮細胞の細胞シートを作製し、温度応答性培養皿上で培養した臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)に細胞シートを移動させ共培養する。また経時的に温度応答性培養皿を低温度にすることで、臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)が細胞シートと接着する時間を明らかにする。 ウサギの脈絡膜血流障害を誘導できた光線力学療法の方法にて長期観察し、形態学的に脈絡膜萎縮を誘導することができるか確認する。形態学的に脈絡膜萎縮の誘導に成功した場合、臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)が接着したヒトiPS細胞由来網膜色素上皮細胞の細胞シートを脈絡膜萎縮部位に以前の論文に準じて移植する。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費に使用する可能性があるため繰り越している。
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