研究課題
日本人最大の中途失明原因である緑内障は網膜神経節細胞の変性によって引き起こされる神経変性疾患であるが、外側膝状体や第一次視覚野などの高次視覚中枢まで変性が波及することが知られている。また、緑内障の発症原因には多くの因子が関与するとされるが、眼圧以外の因子の詳細はいまだに解明されていない。そこで自然発症した正常眼圧緑内障マーモセット群と老齢コントロール群において頭部・Magnetic Resonance Imaging(MRI)を撮影し、Voxel Based Morphometry法(VBM)によって灰白質の体積を比較したところ、第一次視覚野領域における有意な差を見出した。この結果に基づき、外側膝状体や第一次視覚野領域の組織学的検討を行ったところ、外側膝状体のM細胞層と、第一次視覚野の4C領域における有意な細胞数減少が認められたが、外側膝状体のP細胞層には有意な差がなかった。また、眼球網膜を用いた免疫染色による組織学的検討では、網膜内層と視神経乳頭部において脳由来神経栄養因子(BDNF)とその受容体であるTrkBの発現が、正常眼圧緑内障群で有意に減少していることを見出した。また、採取した血液を用いて酸化ストレスの指標である4-HNEをウエスタン・ブロッティング法で調べたところ、正常眼圧緑内障群で有意に上昇していることがわかった。緑内障マーモセットでは篩状板の菲薄化も観察されており、形態的にも病態的にもヒト緑内障との類似点が多く、特にBDNFとその受容体や、全身の酸化ストレスが関与する可能性を見出した。最終年度に当たり、以上の結果に関する論文発表を行った。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
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