緑内障は我が国で最大の失明原因であり、様々な研究が行われているが、マウスなどの小動物では眼球や視神経の構造がヒトとは大きく異なる。一方、マカクザルなどの大動物では緑内障が発症せず、適切なモデル動物が見つかっていなかった。そこで小型のサルであるマーモセットに注目して老齢個体の眼底写真、眼圧、光干渉断層計、網膜電図などを測定したところ、約10%に正常眼圧緑内障が発症していることを発見した。緑内障マーモセットでは篩状板の菲薄化、脳の視覚中枢の萎縮、脳脊髄圧の低下、脳脊髄液中の神経栄養因子の濃度低下が確認されるなど、緑内障患者との共通点が多数見つかり、有用な疾患モデルになると考えられた。
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