研究課題/領域番号 |
17K11505
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高安 肇 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10359614)
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研究分担者 |
増本 幸二 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20343329)
五藤 周 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80598889) [辞退]
瓜田 泰久 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90361352)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 新生児先天性横隔膜ヘルニア / ラットモデル / 肺高血圧 / 肺低形成 |
研究実績の概要 |
2019年は満足に実験を行うことがかなわなかった。実験のテーマであるRhoA阻害剤やエリスロペチンの母体投与による胎児治療を計画したが、診療が多忙を極め、それを行うに十分な時間がとれなかった。一方で2018年年末に研究テーマである横隔膜ヘルニアの患児が退院後に長期にわたって、どのようなフォローアップを受け、どのような生活を調査し、研究の新たな課題や題材を得ようと自施設内の調査を行った。この結果、他の新生児外科疾患に比して、横隔膜ヘルニアの生存者は退院後も合併症が多く、特に呼吸器障害に悩まされている生存者も多く、フォローアップ期間も長くなることが分かった。この結果をニュージーランドにおいて開催された太平洋小児外科学会をはじめ、日本小児外科学会、周産期新生児学会で発表した。また英文論分化して2020年春にAsian Journal of Surgeryに掲載が決定した。また、横隔膜ヘルニア全国多施設共同研究の会議(松本、大阪、Web会議)および、国際共同研究の会議(ニュージーランド)に出席をし、自施設の治療データを登録し、研究班のデータ作成、論文作成に協力した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
延長申請にも理由を述べたが1)特に複数の若手大学院生の研究(この科研費の研究とは関係がない)の遅滞のため、彼ら分を肩代わりして診療を行わなくてはならなくなったこと、2)診療業務が予想外に多忙となったことに加え、研究代表者および研究協力者1名について各々の家庭の事情により大学での業務をほとんど行えない時期が生じたことから、研究計画に遅れが生じている。、などがあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
Covid-19の感染拡大により、動物実験が思うように出来なくなり、計画していたRhoA阻害剤やエリスロペチンの母体投与による胎児治療が事実上出来なくなっている。このため、エリスロポエチンにより刺激を受け、なおかつ肺の発生と血管新生、血管内皮増殖に関わることが最近になって報告されたTSP1という生理活性物質に注目している。またTSP1の受容体の1つであり、肺高血圧への関わりが報告がされているCD47にも着目している。2020年の4月より実験を再開し、2018年の実験により冷凍保存の出来た検体を用いて定量的RT-PCRを行い、有意な結果が出始めている。動物実験再開が望ましいが、それが叶わなくても横隔膜ヘルニアの肺高血圧の病態解明と治療に役立つ結果が得られるように工夫と努力をしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
進捗状況の欄で述べたとおりの理由により一年の研究延長を申請した。Covid-19の感染状況によりけりであるが、本研究のテーマであるRhoA阻害剤やエリスロペチンの母体投与による胎児治療には、実施が可能となれば取り組む準備は出来ている。また、それが不可能であった場合でも「今後の研究の推進方策」で述べたとおり、エリスロポエチンやRhoAに関連のある新規の物質の横隔膜ヘルニアへの関わりを探索する。すでに定量的RT-PCRによる評価は順調に進んでいる。特にCD47については抗CD47が癌や肺高血圧への治療としての治験が始まっており、結果に期待をしている。
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