研究課題/領域番号 |
17K11512
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
久田 正昭 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (40381230)
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研究分担者 |
田口 智章 九州大学, 医学研究院, 教授 (20197247)
木下 義晶 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80345529)
宗崎 良太 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (10403990)
孝橋 賢一 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10529879)
武本 淳吉 九州大学, 医学研究院, 助教 (60621711)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 小児悪性軟部腫瘍 / FOXM1 / 悪性ラブドイド腫瘍 / SMARCB1/INI1 |
研究実績の概要 |
Forkhead box M1 (FOXM1)は細胞周期の進行、細胞増殖、細胞分化、血管形成、アポトーシス、DNA損傷修復および組織恒常性を含む広い範囲の生物学的プロセスの調節において重要な役割を果たしている。FOXM1発現の上昇は多くの癌腫や肉腫において指摘されている。また、我々の過去の研究(基盤C、課題番号26462708)において、横紋筋肉腫や滑膜肉腫におけるFOXM1とその関連蛋白の発現を評価し、FOXM1の治療標的としての可能性について報告した。 本年度は初年度に検討した小児悪性軟部腫瘍でも特に悪性度の高い悪性ラブドイド腫瘍(Malignant rhabdoid tumor、以下MRT)について再検討を行った。MRT症例23症例に対するFOXM1の免疫組織化学染色の再評価において、腎原発症例で有意に発現が低いことが判明し、予後の比較ではFOXM1高発現症例において全生存率が低い傾向は示したものの、有意な差は認められなかった。 本年度はさらに細胞株実験を施行した。MRT細胞株3種に対して、FOXM1発現を確認の上、FOXM1 siRNAによるknock downとFOXM1阻害剤であるthiostreptonにより、FOXM1発現を低下させた。FOXM1発現低下により、増殖能、浸潤能、遊走能は抑制され、抗がん剤感受性改善を示した。また、Micro arrayによる評価では、FOXM1発現低下によりMRT細胞株3種において共通して細胞周期に関するpathwayに変化が多かったことを確認した。 MRTはSMARCB1/INI1遺伝子異常で引き起こされる腫瘍と言われており、他の遺伝子異常が極めて少ないことが特徴とされている。SMARCB1/INI1とFOXM1との相互作用についてさらなる検討が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小児悪性軟部腫瘍でも特に悪性度の高い悪性ラブドイド腫瘍(Malignant rhabdoid tumor、以下MRT)について再検討を行った。MRTにおいてもFOXM1発現は腫瘍の悪性度とかかわっている可能性が示された。今回の結果はMRTの腫瘍増殖を考えるうえで重要で、今後のさらなる展開がのぞめるものと考えられ、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
FOXM1とSMARCB1/INI1との相互作用を検討することが最重要課題である。そのため、その他のSMARCB1/INI1発現異常をきたす腫瘍についてFOXM1発現について検討を行い、臨床病理学的因子との対比を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の九州大学から琉球大学への異動に伴い、研究代表者の教室において細胞株実験の研究を継続するために設備準備が必要であり、平成30年度より設備準備を始め、令和元年度は実験に必要な設備物品調達を進めたが、実際の実験実施は不十分である。研究代表者の診療部門の人員不足に伴い十分な研究準備の時間が取れなかったことが主な理由である。令和2年度は人員増員しているので、設備準備を更に進めて、細胞株実験も着手する予定である。
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