研究課題/領域番号 |
17K11514
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
連 利博 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (20140444)
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研究分担者 |
家入 里志 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (00363359)
大西 峻 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (10614638)
諸冨 嘉樹 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (20263907) [辞退]
増本 幸二 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20343329)
原 博満 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20392079)
加治 建 鹿児島大学, 附属病院, 特任教授 (50315420)
武藤 充 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (70404522)
桝屋 隆太 鹿児島大学, 附属病院, 特任助教 (90448572)
堀池 正樹 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (30464621)
古川 泰三 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20515291)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 胆道閉鎖症 / 母親キメリズム / 母親寛容 / 混合リンパ球試験 |
研究実績の概要 |
1.母児間混合リンパ球試験: 新患患者6名(鹿児島大学5例、茨城県立こども病院1例)を経験し、母児間の混合リンパ球試験を行うことができた。5例は母親に対する寛容な傾向にあったが、他の1例は寛容がないと分析できる結果であった。今後、さらに症例を増やしてstimulation indexと予後との関連を分析できるようにする見込みである。 2.病理形態学的研究: BA肝の門脈域における門脈枝の数が著明に減少していることに気づき、門脈枝の計測を行った。門脈域の門脈枝は対照例に比較し有意に減少していたので論文化した(Morphometric demonstration of portal vein stenosis and hepatic arterial medial hypertrophy in patients with biliary atresia. Pediatr Surg Int 35:529-537, 2019 )。母親キメリズムに伴うGvHDが本研究仮説の本質であり、血管内皮は非自己抗原に対する免疫反応の場であるため仮説に矛盾しない結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ロードマップでは、「平成29年度は母親末梢血リンパ球のBA患者抗原に対する反応性の評価」となっている。BA患児は母親に対して寛容が成立しているかどうかを分析するのだが、少なくとも、第三者の抗原刺激に同等の反応を示せば、寛容は成立していないといえよう。5例中4例は寛容でなく、これらの症例では予後良好であったことから、母親を排除できるとすれば仮説に矛盾はない。また、新患1例で母児間リンパ球混合試験結果を父子間試験結果と比較することができた。BA患者は母親刺激では刺激指数が2.6、父親刺激では1.9と母親刺激が強かった。これは、過去に本人が母親抗原刺激に遭遇しているというメモリ・リスポンスであると理解すれば、仮説に合致している結果である。 昨年の立てた予定通り、米国シアトルにあるFred Hutchinson Cancer Research Centerに赴き4例においてBA患者の末梢血中に母親細胞の存在を確認する分析ができた。そのうちの1例ではBA患児と母親間の混合リンパ球試験も施行できた。本患児では末梢血中のBuffy coatおよび血漿中に同胞コントロールより母親由来キメラ細胞を多数認め、母親抗原に対する反応では患児は同胞よりも母親に寛容であることが判明したが、患児の抗原に対する母親リンパ球の反応では同胞より弱く寛容であることが判明し、仮説とは矛盾した結果であった。今後症例をさらに増やし分析する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
共同研究施設を拡大し、症例があつまりつつある。BA患児と母親との寛容の有無と末梢血における母親由来細胞の存在の有無、さらにそれらと予後との相関が本仮説の妥当性を証明することになると考えているが、データはそろいつつある。ロードマップに従い、BA患者肝生検組織からの母親エフェクター細胞の抽出を試み、functional assay (Elispot test)に持ち込むことが最終目標だが,その前に末梢血のリンパ球でElispotを行う予備実験の開始準備は整った。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に実験を行う予定であった検体数が目標値に達せず、協力施設を拡大して平成31年度に実施することとしたため
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