研究課題/領域番号 |
17K11515
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
桝屋 隆太 鹿児島大学, 附属病院, 特任助教 (90448572)
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研究分担者 |
家入 里志 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (00363359)
大西 峻 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, その他 (10614638)
川野 孝文 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, その他 (40457651)
加治 建 鹿児島大学, 附属病院, 特任教授 (50315420)
武藤 充 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, その他 (70404522)
中目 和彦 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70448570)
町頭 成郎 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, その他 (80404523)
矢野 圭輔 鹿児島大学, 医歯学域医学部・歯学部附属病院, 医員 (30757919)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 壊死性腸炎 / 大建中湯 / 動物モデル作成 |
研究実績の概要 |
・重症新生児壊死性腸炎モデルラット作成、およびモデルラットに対する大建中湯投与プロトコールの決定 低酸素刺激による新生児壊死性腸炎動物モデル作成の手法に関しては、すでに当研究グループにおいて確立されている。このモデルに対して、従来の低酸素刺激の回数を増加し、さらに寒冷刺激を追加変更することによって、重症モデルを作成した。この重症モデルから腸管の組織を採取して、新生児壊死性腸炎スコアリングを用いて病理組織学的に半定量的評価を行ったところ、新生児壊死性腸炎が従来のモデルと比較して重症化していることが確認された。 作成した重症新生児壊死性腸炎モデルラットに対する大建中湯の投与実験を開始した。ヒトに対する大建中湯の標準投与量をもとにして、最も効果的な投与経路と投与量を決定した上で、重症新生児壊死性腸炎モデルラットを大建中湯の投与量ごとに4群(Controlを含む)に分類を行い、投与した。 今後は、犠死せしめたモデルラットから摘出した消化管組織を、新生児壊死性腸炎スコアリングを用いて病理組織学的に半定量的評価を行い、大建中湯投与による新生児壊死性腸炎予防効果の検討を行う予定である。その後、大建中湯の新生児壊死性腸炎予防効果のメカニズムについて、摘出した消化管組織内のサイトカインおよび核内蛋白、血中の酸化ストレスマーカーや凝固系マーカーを定量的に評価し群間で比較を行うことによって検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(I)新生児壊死性腸炎(以下NEC)ラット重症モデルの作成 1)新生仔ラット(Sprague-Dawley rat)5-7gを、出産予定日に帝王切開にて出生させた後、生後2時間目からヒト用粉ミルク5g+小動物用ミルク75mlを0.1~0.25 mlを6時間おきに経管的に投与した。 2)従来当研究グループで確立しているモデルでは低酸素刺激(100%窒素ガス5分間吸入)を1日4回(6時間毎)、4日間のプロトコールで行っていた。今回の重症NECモデルの作成にあたっては、低酸素刺激(100%窒素ガス5分間吸入)を1日6回(4時間毎)、4日間に増加し、さらに寒冷刺激を追加変更した。生後1日目と2日目にE.coli由来リポポリサッカライド(LPS)を4mg/kg経管投与を行った。 臨床的にNEC発症時と96時間後に全生存ラットを犠死せしめ全消化管を摘出した。回盲弁から1cm近位側の回腸を固定し、パラフィン包埋、切片を作成してHE染色し、組織学的変化をNECスコアリングを用いて評価した。その結果、この手技にてラットが病理学的壊死性炎を発症し、従来のモデルと比較して重症化することが証明された。 (II)NECモデルに対する大建中湯の投与実験(プロトコール確立) 大建中湯は、日局カンキョウ、日局サンショウ、日局ニンジンの乾燥エキスが5:2:3の比率で配合されているツムラ大建中湯エキス顆粒(株式会社ツムラ)を用いた。腸閉塞の際に使用される大建中湯の量は一般的に15gであるため、成人体重50kgで換算し1日投与量を0.3g/kgと推定、以下の4群に分類し、1日投与量を12時間毎に2分割し、人工乳に混入し胃内投与した。 Control群(0g):0g/kg/day、0.3g群:0.3g/kg/day、0.6g群:0.6g/kg/day、1.0g群:1.0g/kg/day
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今後の研究の推進方策 |
大建中湯投与による予防効果の検討 2年目は予防効果の判定を主に組織学的によりスコア化して行う。 モデルラットを犠死後、腸管を摘出し、回盲弁から1cm近位側の回腸を採取する。ホルマリン・エタノール固定し、パラフィン包埋、4-6μmで切片を作製する。HE染色して、組織学的変化をNECスコアリングを用いて評価し、前記の各群で比較検討することにより、大建中湯投与による予防効果の判定を行う予定である。 3年目は重症NECモデルに対する大建中湯の予防効果のメカニズムについてサイトカイン、核内蛋白レベルにて検討を加える。炎症・凝固反応の面から検討するためELISA法を用い腸管組織内腸管組織内のサイトカインの網羅的解析を行い、サイトカインシグナル伝達を解明する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
大建中湯投与による予防効果の検討 2年目は予防効果の判定を主に組織学的によりスコア化して行う。 モデルラットを犠死後、腸管を摘出し、回盲弁から1cm近位側の回腸を採取する。ホルマリン・エタノール固定し、パラフィン包埋、4-6μmで切片を作製する。HE染色して、組織学的変化をNECスコアリングを用いて評価し、前記の各群で比較検討することにより、大建中湯投与による予防効果の判定を行う予定である。
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