研究課題
本研究にて我々は、MEK阻害剤の神経芽腫への臨床応用を目的とした前臨床研究として、以下の2項目の解析を目的としている。1.マウスモデルでのMEK阻害剤の有効性および有害性の解析:ヌードマウスに神経芽腫細胞株を接種させた腫瘍モデルにMEK阻害剤の投薬を行い、抗腫瘍効果の解析を行う。同時に、マウスへの有害事象の有無の観察を行う。2.MEK阻害剤の感受性解析のための臨床検体におけるpERK免疫染色:神経芽腫臨床検体のpERK免疫染色を行い、腫瘍におけるERK活性化の傾向の検討を行う。初発腫瘍と化学療法後、再発時の比較、予後との比較等を行い、MEK阻害剤の適応となり得る症例の検討を行う。我々は、これまでに神経芽腫接種ヌードマウスにおけるMEK阻害剤の効果の解析をおこなっている。その結果、ERKの活性化が認められる神経芽腫細胞株接種群ではMEK阻害剤の効果が認められるが、ERK活性化が認められない細胞株接種群では無効であった。また、有効群においても、他の癌種の報告と同様に長期的にはMEK阻害剤に対する耐性が認められることが判明した。MEK阻害剤による有害事象は認められなかった。この結果を英文報告している。また、ヒト神経芽腫臨床検体におけるpERKの免疫染色をおこなっている。ERK活性化は症例毎に異なり、腫瘍内にもheterogeneityが認められた。再発症例にはpERKの活性化が優位であった。
2: おおむね順調に進展している
ほぼ計画書通りの進捗状況となっており、成果発表もおこなっている。
現在、神経芽腫転移モデルの作製を行っており、これに対するMEK阻害剤の転移抑制効果の解析を進めている。
現在、本研究のための新規神経芽腫転移モデル作製を行っており、翌年分と合わせてこの実験系を進めている。具体的には、ヌードマウスに対して,Luciferase発現神経芽腫細胞株(SK-N-AS)を左腎被膜下に移植し,2週間後に左副腎原発腫瘍および左腎摘出が行われる.継時的な変化をIVISⓇで追跡すると,原発腫瘍切除後に一旦消失していたシグナルが,再び発光していることが確認される(minimal residual disease (MRD) モデルマウス)。このモデルを用いて、MEK阻害剤による神経芽腫転移抑制効果の解析を行う。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件)
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