研究課題
【背景と目的】我々はこれまでに神経芽腫発生モデルマウス (MYCN-TgM)を用いてヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞(hMSC)の腹腔内投与による神経芽腫への腫瘍集積効果(homing effect)を確認した.現在さらなる応用としてマウス骨髄組織由来間葉系幹細胞(mMSC)の神経芽腫に対するhoming effectの解析・評価を行っている.【方法】生後4週のMYCN-TgMに対して近赤外線蛍光色素で標識したGFP-mMSCの腹腔内投与(3×10 6 個/匹)を行った.生体内イメージングとしてIVIS Imaging System(IVIS)を用いて、投与直後から12時間まで経時的なmMSCの追跡をマウス生存下にて行った.その後、投与12時間後にMYCN-TgMを犠牲死させ、摘出した.またIFβ発現MSCをMYCN-TgMに腹腔内投与し,各臓器でのIFβ発現をELISAにて測定した.またMYCN-TgMにIFβ発現MSCを投与し生存曲線を比較した.【結果】IVISにおいてmMSCが投与直後より時間経過とともに腫瘍部位へ移動していることが確認された.また、摘出した腫瘍においてGFP免疫染色において腫瘍内部にmMSCの集積を確認した.さらに、免疫組織化学染色において腫瘍上にmMSCの存在を確認した.臓器内IFβ発現は,腫瘍に特異的に高発現であり,また生存曲線もIFβ発現MSC投与群において優位に延長を認めた.【展望】mMSCのマウス神経芽腫に対するhoming effectが腹腔内投与において認められた.さらにインターフェロン発現MSCのドラッグデリバリーシステムとしての有用性も認められた.今後更なる臨床応用を目指して,キャリアーの選択などを行っている.
1: 当初の計画以上に進展している
MSCのホーミング効果のみならず,ドラッグデリバリー効果および生存曲線延長効果も検証できたため.
MSCに搭載するキャリアーとして,抗GD2抗体に着目し,研究準備を行っている.
平成30年度に使用したIFNβ発現-MSCについては,すでに作成されたものを学内の別の研究室から無償供与を受けることができたため,当初の見積もりよりも必要経費が少なくなった.平成31年度は,新たなキャリアーとして,MSCへの遺伝子導入のためのベクター作成がかなりの量必要なため,前年度に不要であった遺伝子導入に経費を使用する予定である.
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