研究課題/領域番号 |
17K11519
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
熊谷 秀規 自治医科大学, 医学部, 教授 (60364353)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 神経節細胞 / ヒルシュスプルング病 / 超音波顕微鏡 / 診断法 |
研究実績の概要 |
本研究は,高周波の超音波を用いて大腸組織画像を取得し,臨床の場でヒルシュスプルング病診断のためのリアルタイム「バーチャル生検」を目指したものである。研究では,音響特性データを取得して,診断における課題と有用性を明らかにし,診断デバイスの開発につなげることを目標とする。 ヒト小児のヒルシュスプルング病のパラフィン包埋大腸組織を用いて,超音波顕微鏡像を光学顕微鏡とを比較して組織構造学的評価を行った。パラフィンブロックを薄切し,観察直前に脱パラして医用超音波顕微鏡プローブを介して観察した。光学顕微鏡像はヘマトキシリン・エオジン染色で観察した。その結果,intensityに基づいた超音波画像所見は,大腸の粘膜層や筋層といった組織構造が,光学像とほぼ同様に描出された。320 MHz帯の高周波プローブを用いた観察では,ヒルシュスプルング病を診断する際のポイントとなる神経節細胞を同定し得た。次に,腸管の組織構造や神経節細胞の超音波顕微鏡による同定をex vivoで 行った。しかし,パラフィン包埋切片を用いた観察と異なり,神経節細胞を同定することは容易ではなかった。超音波顕微鏡のセッティングの見直しや,組織切片作成方法の工夫,さらには,試薬を用いての神経節細胞同定に取り組んだが,奏功していないのが現状である。 そこで,その打開策として,インピーダンスデータをもとに時間周波数分析を応用した3D画像を構築することで,診断手法に活路を見出そうと取り組んでいる。それに伴い,診断デバイス作製に向けた取り組みは,その方向性が変わる可能性があることから,現在見合わせている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Ex vivo で腸管組織の神経節細胞の同定をなし得ていない。いくつかの工夫を加えてみたが事態を打開するにいたっていない。そのため,研究の進捗状況は遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
実験手法を見直し,研究期間を延長のうえ,組織インピーダンスデータをもとに時間周波数分析を応用した3D画像を構築する手法にチャレンジし,診断手法の開発につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗に遅れが生じていて,当初計画していた予算を使用していないため,支出額が当初予算より小さくなり次年度使用額が生じた。研究期間を延長のうえ,モディファイした研究計画にそって迅速に研究を進めて行く。翌年度分としては,試料を用いた実験の実施と,デバイス開発に伴う部品調達,および専門家との協議のための旅費等,さらには論文作成にかかる校閲費用や投稿料を計上する。
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