研究課題
胎児尿路閉塞で使用する膀胱羊水腔シャントは胎児の予後が悪く臨床使用頻度が激減し胸腔―羊水腔シャントに使用する頻度が増えた。羊を用いた胎児実験から、脳外科用 V-P シャント(脳室-腹腔シャント)をシャントチューブに用いることで一定の圧が維持出来、膀胱機能の温存や胸腔内圧の調整など圧調整機能のついたシャントチューブの穿刺キットが必要となている。我々の尿路閉塞の胎児実験からシャントチューブ先端にスリット状の圧調整バルブ機能を設けた穿刺型シャントチューブが完成したがシャントチューブが脱落し他部位への迷入が認められた。そこで現在のシャントチューブ先端の穿刺針と外套の間に羊膜が入らない様針の改良、挿入摩擦抵抗を軽減させるためのコーティングを施行、コーティング剤が自然脱落に関与したため、外側だけのコーティングに改良した。また、穿刺時に羊水がもれない様スリットを外套の端に作成した。また、先端のパンタグラフ部分に折り返しを付け、引き抜き抵抗を増やし自然脱落を防止した。【結果】2016年モデルは尿路閉塞を10例作成し4例にシャントをおこない満期で1例のみシャントが膀胱内に留置した。その他は1例が死亡、2例がシャントの脱落を認めた。2018年モデルは尿路閉塞を3例作成し3例にシャントをおこない満期で1例のみシャントの留置に成功した。その他は1例が死亡、1例がシャントの脱落を認めた。2019年モデルでは10匹の尿路閉塞モデルを作成し8例にシャントを挿入した。満期で5例がシャントの留置に成功した。その他は3例が死亡し、自然脱落症例はなかった。【結語】シャントチューブの留置率向上を目指し、シャントチューブの形状の変更を適宜行い、留置率が向上した。今後はさらなる臨床応用へ向けた形状、材質変更などを試みた。
すべて 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
Pediatric Surgery International
巻: 35 ページ: 1131-1136
10.1007/s00383-019-04543-9