1)マウス肝臓脂肪変性モデル・・・6週齢のC57BL6マウスに液体の高炭水化物食を与え、7日、14日、21日で犠死させ、脂肪変性の程度を評価。肝臓は肉眼的に脂肪投与群で経日的にわずかな黄色調の色調を帯びた。肝臓重量は、経日的に7→14日は1.23倍、14→21日では1.52倍に増加した。血液生化学的な肝障害(ALT)は、脂肪投与群の14日目では7日、対照群に比べ変化はなかったが、21日目には有意差を認めた。病理学的にはHE染色で、14日目よりびまん性の 脂肪変性を認め、21日では脂肪変性はより重篤となっていた。環境因子による実験結果の差異がないことを確認した。 2)脂肪乳剤の経静脈的投与による治療・・・液体の高炭水化物食を21日与え、大豆油由来(S:Intralipid)、魚油由来(F:omegaven)、総合的 (C:SMOFlipid)脂肪乳剤を2.4g/kg/dayのdoseで尾静脈より1日おきに静脈注射を7回(14日間)行った後に犠死させ、脂肪変性の程度を評価した。肝臓の肉眼的外観はS/F/C群3群ともに黄色調の色調が改善した。肝臓重量は3群ともに治療前より減少した。肝機能障害(ALT)は3群とも正常値まで有意差をもって改善した。病理はHE染色にて、F群では脂肪変性は完全消失、S・C群では脂肪滴の縮小が見られ重症度は改善した。3)メタボローム解析による活性代謝物の解析・・・脂肪乳剤治療前、治療後3日、治療後7日の3ポイントでリピドミクス解析を行い、脂肪酸代謝物の生成の経時的変化を検討。18-hydroxyeicosapentaenoic acid(18-HEPE)を前駆体とした代謝物はF群とS群、C群とS群の間で有意に上昇していたが、F群とS群には有意差はなかった。4)炎症性サイトカイン評価・・・F群やC群ではS群に比べ、炎症性サイトカイン投与(TNF-α)は有意に上昇していた。
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