研究課題/領域番号 |
17K11528
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
今井 啓道 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (80323012)
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研究分担者 |
山本 玲子 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 上席研究員 (20343882)
清水 良央 東北大学, 歯学研究科, 助教 (30302152)
向井 敏司 神戸大学, 未来医工学研究開発センター, 教授 (40254429)
三浦 千絵子 東北大学, 大学病院, 助教 (80509240)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マグネシウム合金 / 表面処理 / ブルシャイト / 水酸化マグネシウム / 新生骨量 / ガス発生量 |
研究実績の概要 |
三元系(Mg-Ca-Zn)マグネシウム合金を用いて、その表層に表面処理を施す事で、生体内でのガス発生や骨新生といった生体内挙動が変化するのかを検証した。表面処理として水酸化マグネシウム(耐蝕層群)と、リン酸カルシウム系化合物(ブルシャイト群)を準備し、表面処理を施さなかったマグネシウム合金(裸材群)をコントロールとして加えて、ウサギ大腿骨内にネイル状の合金を打ち込み1週目と4週目に標本を周囲組織を含めて採取し各種検討を行った。マイクロX線CT画像では、すべてのマグネシウム合金周囲にガス像、ならびに新生骨の形成を認めた。続いてデータを3次元構築し、ガス体積の経時的変化、新生骨体積量の経時的変化、ネイル体積の経時的変化を計測し、統計解析を行った。すると、ガス体積は1週では群間に差は出なかったが、4週では耐蝕層群において有意差に発生が多く、ブルシャイト群で有意に発生が少なかった。一方、新生骨体積量は1週では差は生じなかったが、4週において耐蝕層群において有意差に多くの新生骨を認めた 。また、移植合金の体積は1週では差は無かったが、4週において耐蝕層群がブルシャイト群に比べ有意に吸収され減少していた。これらの結果から、耐蝕層群は長期間に渡り周囲と反応していると思われ、発生するガス量、吸収分解の速度は最も早く、臨床使用に堪える生体内挙動ではなかった。しかし、その結果として多くの骨形成が生じており、骨形成を有するインプラントとしてのマグネシウム合金の性能は最も良かった。一方、ブルシャイト群ではガス発生を抑えるという意味では最も効果があったが、一方新生骨の量は最小となった。これら骨形成の機序は依然不明であるが、いずれにしてもマグネシウム合金の吸収反応が持続するほど骨形成量が増える可能性が示され、その反応を表面処理により調整できる可能性が示された。
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