研究課題/領域番号 |
17K11531
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
三川 信之 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (40595196)
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研究分担者 |
窪田 吉孝 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (10375735)
秋田 新介 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (00436403)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 仮骨延長 / 脂肪細胞 / 再生医療 |
研究実績の概要 |
頭蓋顎顔面変形症に対して、申請者らが世界に先駆けて行ってきた仮骨延長法は多くの患者に福音をもたらしてきた。仮骨延長法は細胞生物学的には0.5-1.0 mm / 日程度の緩徐持続的な伸展刺激により、軟部組織を含む細胞増殖と細胞外基質産生による組織の再生統合が行われるという特徴を持つ。しかし、現在でも仮骨形成不全による長い保定期間と延長後の後戻りが問題で、仮骨形成を促進する方法が求められている。仮骨延長部における緩徐な伸展刺激による骨再生は、多種多様な細胞の増殖と分化が同時発展的に進行する複雑な過程である。骨新生が速やかに行われるため細胞増殖と分化、骨新生、血管新生などが調和して進行に必要な細胞群が十分に供給されることが求められる。 ところが、実際には瘢痕化などで乏幹細胞状態にあり骨新生が遅延することも多い。我々はこの問題に対し脂肪組織から採取される細胞の移植が解決の糸口になると考えている。脂肪組織は低侵襲に大量の細胞を分離できるため再生医療の細胞供給源として有望である。脂肪組織からは2種類の細胞を採取可能である。1つはコラゲナーゼ処理の後の遠心分画から採取される脂肪組織由来幹細胞で、もう1つは浮遊分画から採取される天井培養由来前駆脂肪細胞である。移植前検討としてヒト細胞を用いて骨分化能を検討したところ、長期継代後も天井倍由来前駆脂肪細胞の方が高い骨分化能を維持していた。また、多種の骨分化誘導培地に対する反応を検討したところ、脂肪組織由来幹細胞と天井培養由来前駆脂肪細胞は似た傾向を示した。すなわち、両者は共通の性質を持つ一方で、長期継代後も差違を保持していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
移植前検討としてヒト皮下脂肪組織から採取される2種類の細胞の骨分化能を検証できた。また、多種の分化誘導刺激に対する反応性を明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト皮下脂肪組織から採取される細胞が性質の違いを保持する機構を明らかにする。移植前検討して骨分化に関連する遺伝子のエピジェネティクス状態を比較解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ヒト脂肪組織由来の培養細胞が安定して運用できる様になり、細胞樹立に要する経費が減少できたた為。 細胞性質のより詳細な分子生物原解析に使用する予定である。
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