研究課題/領域番号 |
17K11533
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
高木 克典 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (90635856)
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研究分担者 |
山下 修二 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30457220)
永安 武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
吉田 周平 広島大学, 病院(医), 助教 (80380921)
松本 桂太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (80404268)
中山 功一 佐賀大学, 医学部, 特任教授 (50420609)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 外科 / 再生医学 / 細胞・組織 / リンパ浮腫 |
研究実績の概要 |
最近の研究で、線維芽細胞の管腔構造物で血管を置換した場合、移植先の血管内皮細胞が、構造体内部に進出し、構造体裏打ちすることが証明されているため、まず、線維芽細胞主体の極小口径管腔構造体を作成することとした。 スフェロイドは400μ前後と600μ前後のサイズを作成し、比較検討したが、400μmのスフェロイドでは癒合が不完全で、スーパーマイクロサージャリーでの吻合に適した強度を要する管腔構造体は600μmのスフェロイドが適当であった。 細胞株はヒト線維芽細胞(NHDF)、ヒト間葉系肝細胞(MSC)、ヒト平滑筋細胞(SMC)、ヒト臍帯血細胞(HUVEC)を用い、単一細胞培養と共培養で比較検討した結果、単一細胞培養ではスーパーマイクロ吻合に適した強度を得にくく、NHDF80-90%、HUVEC10-20%のスフェロイドが現時点では最適と判断された。 現在、壁厚500-600μm、内腔600μm、長径5mmの極小口径人工管腔構造体を作成できている。また、構造体同士を吻合することも可能であるが、現在、組織親和性の検討を優先させるため、延伸実験に移行する前に、移植実験に移行している。腹腔内リンパ管に移植するにはわずかに口径が太いため、ステントを用いて、ラット尿管に移植し、強度と組織親和性を検討中である。尿管は蠕動しており、さらに内部を流れる尿のflowも強いことから、リンパ管に移植する前実験としては有用である。また、尿管に構造体を移植する実験の報告はなく、本研究も派生実験ではあるが非常に有用な研究であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.市販されているヒト細胞株を用いてスフェロイドを大量培養し、バイオ3Dプリンティングシステム(Regenova)を用いて管腔構造(人工リンパ管)に組み立てが実現できた。ただし、使用した細胞株と細胞株の混合比率は計画とは異なるものとなっている。 2.作成した人工リンパ管をバイオリアクターで1-4週間培養し、人工リンパ管の内腔径、壁の厚さ、強度を、スーパーマイクロ手術の技術を用いて吻合可能な程度に最適化できた。また、構造体同士を吻合することにも成功しているが、現在、組織親和性の検討を優先させるため、延伸実験に移行する前に、移植実験に移行している。
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今後の研究の推進方策 |
ステントを用いて、人工構造体をラット尿管に移植し、管腔構造体内部に尿管上皮(移行上皮)が進出し、裏打ちすることを確認できれば、尿管の蠕動と尿流に耐久力を持つ構造体であることが証明できる。機能的に問題ないことが証明できれば、構造体をスーパーマイクロ技術で切削し、極小口径にトリミングし、リンパ管に置換することで、人工リンパ管が完成する。スーパーマイクロ手術で構造体を吻合し、延伸し、リンパ浮腫モデルに移植し改善状況を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
同一内容の安価な培地を購入するなど、経費削減につとめた結果、3,279円の次年度繰越金があり、細胞育成用培地購入の一部に充てる。
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