研究課題
糖尿病患者における下肢切断は、患者の社会生活を奪うため予防されなければならない。その原因となる足部潰瘍を適切に予防・管理するためには、歩行時の異常な足底圧を管理する必要があり、本研究では歩行時の足底圧を制御する理学療法技術の開発を目指している。糖尿病患者の中でも、末梢神経障害を生じる患者において特に足部の機能障害が生じやすく、その足部機能障害としての足関節背屈運動制限と、それに伴う歩行時の高足底圧は知られている。本研究では、持続的な下腿三頭筋ストレッチングによって糖尿病性末梢神経障害を有する患者の足関節背屈可動域を改善できることを明らかにし、そして、その可動域改善が糖尿病患者の歩行時の異常足底圧を抑制することを見出した。さらに、下腿三頭筋ストレッチングに、拮抗筋の前脛骨筋への電気刺激療法を併用することによって、足関節背屈可動域の改善効果が強まり、それと同時に歩行時の前足部足底圧が強く抑制されることが明らかになった。その運動学的機序として、立脚相における圧中心軌跡の内側偏位の是正、すなわち立脚相での外側方向への重心移動の回復が、内側前足部への圧集中を防ぐことが明らかになった。これらのことから、電気刺激療法とストレッチングの併用療法は、糖尿病患者における異常歩容を改善し、切断要因となる足部潰瘍の発生予防に活用できることが示唆された。本研究で得られた成果を、最終年度の国内の関連学会で演題発表し、その他シンポジウム、講演等を介して社会発信した。また、2020年度内に、国際学会で報告されることも確定している。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件) 学会発表 (35件) (うち国際学会 7件、 招待講演 14件) 図書 (2件)
Journal of the American Podiatric Medical Association
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