研究課題/領域番号 |
17K11541
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
金輪 真佐美 (福永真佐美) 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 助教 (00284208)
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研究分担者 |
藤本 勝巳 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (40294566)
平田 伊佐雄 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (40346507)
河本 健 広島大学, 財務・総務室, 特任教授 (50224861)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 分化予知マーカー / 骨分化 / 遺伝子発現 / 線維芽細胞 |
研究実績の概要 |
間葉系幹細胞(MSC)はiPS細胞と比較して癌化リスクが低いこと、免疫抑制作用があるなどの利点を有しており再生医療の移植材料として用いられている。MSCは主に骨、軟骨、脂肪への分化能を有しているが、実際in vitroでMSCに分化誘導するとそれらの分化能はドナーやMSCを分離するための組織の違いによって高低差があり一定ではない。しかし、現在のところ、MSCの分化能の高低差を分化誘導前の段階で予知する技術は確立されていないことから我々は分化誘導前にMSCに発現している遺伝子の中から骨分化予知マーカーとして利用できる遺伝子について検討を重ねてきた。令和3年度ではこれまで同定していた7つの遺伝子(HGF, SRGN, SERPINI1, TFPI2, KCTD12, TRIB2, IGF1)の中からより最適な骨分化予知遺伝子マーカーについて検討した。即ち、7つの遺伝子の選択にあたっては骨分化能の異なる3種類の細胞(腸骨由来MSC、顎骨由来MSC、線維芽細胞)間のこれらの遺伝子発現レベルの平均値を比較することによって選択したが、理想的なマーカーは、骨分化能が低い、あるいはほとんどないとされるすべての線維芽細胞の発現レベルよりも腸骨由来MSCで遺伝子発現レベルが高い値を示していることが重要である。そこでこれら7つの遺伝子の個々のレベルを腸骨由来MSCと線維芽細胞との間で比較した。その結果7つの遺伝子の中で、SRGNとIGF1の発現レベルは検討したすべてのMSCにおいて全ての線維芽細胞より高い値を示していた。残りの5つの遺伝子についてはいずれかの腸骨由来MSC遺伝子発現レベルがいずれかの線維芽細胞の発現レベルよりも低いものがあった。従って7つの骨分化予知遺伝子マーカーの中で、より最適なマーカーはSRGNとIGF12つの遺伝子ではないかと結論付けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MSCの骨、軟骨、脂肪への3方向の分化予知マーカーのうち軟骨分化と脂肪分化についてはすでに同定しており、骨分化予知マーカーの同定が残っていたが本年度で骨分化予知マーカーも同定できた。
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今後の研究の推進方策 |
今までに同定してきた骨髄由来MSCの分化予知マーカー遺伝子について、今までは遺伝子と分化マーカーとの相関性について検討してきたが、今後は遺伝子間の相関関係について検討し分化予知マーカー遺伝子間の関連性を分析する。また骨分化予知マーカーについて学会発表を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による移動制限があり予定していた学会への現地参加ができなかった。2022年度において学会参加のための参加費と旅費に使用する予定である。
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