研究実績の概要 |
正常ヒト組織より採取された皮膚組織から、エクリン汗腺由来細胞をそれぞれ回収することに成功した。その後、これらエクリン汗腺由来細胞により、マトリジェル内での真皮内導管へ分化誘導を試みた。細胞は集塊を形成してやや増殖傾向を呈し、一部で未熟な管腔構造を形成したかとも思われたが、最終的には期待されたような分化増殖誘導には至らなかった。これと並行して行ったエクリン汗腺由来組織の包埋培養Base gelとupper gelの間に汗腺コロニーを挟み込み、その上からoverlay mediumを注ぎ、37℃・5%CO2 incubator内で培養を行う)においてもほぼ同様の結果となった。 分離したエクリン汗腺の一部をorgan cultureを行い、せん断された真皮内汗管組織が延長することが確認された。構造を顕微鏡下で観察し、免疫染色にて免疫染色にて基底膜構成成分のマーカー(laminn 5, type IV collagen, type VII collagen, integrin)、細胞間接着因子のマーカー(E-cadherin, desmoglein 1, 3)、細胞骨格のマーカー(keratin 5,14, 10)、分化マーカ(involucrin,loricrin,transglutaminase)、汗腺マーカー(CEA, GDCFP-15)などの発現検討を行ったが、特異的な発現結果を得られなかった。既報のマトリジェルなどを用いた三次元培養において、報告されたような汗腺構造を呈する組織の回収に至ることができないことが明らかとなり、分化誘導に関する手法の検討が必要となった。Organ cultureにて組織が維持ならびに軽度増殖することが明らかなとなったので、エクリン汗由来細胞に単離する以前に、細切された真皮内汗管が再生する仕組みを明らかにすることが急務であることが判明した。
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