研究実績の概要 |
瘢痕組織の真皮上に培養表皮シートを移植すると、正常皮膚の真皮に培養表皮シートを移植した時に比べ、表皮角化細胞の分化マーカーの発現が遅れることから(参考文献)、瘢痕組織は表皮角化細胞の増殖や分化に影響を与えていると考えられる。本研究の目的は、瘢痕組織が表皮恒常性維持に係わるヒト表皮角化幹細胞動態に影響を与える可能性について検討することである。これまでにヒト瘢痕組織を採取し、その真皮組織と新生児由来表皮角化細胞を用いて、3次元皮膚モデルを構築することに成功した。本年は、正常真皮を用いた3次元皮膚モデルと、瘢痕部の真皮を用いた3次元皮膚モデルを作成し、その組織学的な解析を行ったところ、両者に明確な違いは発見できなかった。しかしながら、基底膜成分の変化なども考えられることから、本研究成果をふまえ、さらに組織化学的検討を追加することで、研究を発展させる予定である。 参考文献:Kadoya et al., Changes in the expression of epidermal differentiation markers at sites where cultured epithelial autografts were transplanted onto wounds from burn scar excision. International Wound Journal 13: 412-417, 2016.
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