研究課題/領域番号 |
17K11555
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
藤澤 千恵 東邦大学, 医学部, 講師 (10393000)
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研究分担者 |
大西 清 東邦大学, 医学部, 教授 (30194228)
深澤 由里 東邦大学, 医学部, 講師 (90392331)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | PDGFRα / 線維化 / 組織修復反応 |
研究実績の概要 |
Real-time PCR array解析からbFGF投与48時間と96時間目でともに増加するmiR-146b-5pを選定した。miR-146b-5pの標的分子候補としてPlatelet-derived growth factor receptorα (PDGFRα)の検証をmiR-146b-5p InhibitorとMimicの遺伝子導入実験から検討した。 Mimic感作した皮膚線維芽細胞ではPDGFRα蛋白発現抑制が、Inhibitor感作した皮膚線維芽細胞ではPDGFRα蛋白発現亢進がWestern Blot法で確認された。In situ hybridization法によるmiR146b-5p発現性のin vivoでの検討では、筋肉周囲を含む間質細胞に発現増加が認められた。ただしPDGFRα蛋白との二重染色から両分子の同一細胞における発現性が確認できず、miR-146b-5p標的分子としてPDGFRαが確認できた。またmiR-146b-5p Mimic感作線維芽細胞はCollagen type I mRNA発現抑制が、Inhibitor感作細胞ではCollagen type I mRNA発現亢進がReal-time PCR法で確認されたので、miR-146b-5pは標的PDGFRαの発現制御から瘢痕線維化抑制に寄与することが示唆された。以上からmiR-146b-5pは線維化を促進するPDGFのシグナルを受容体レベルで抑制して修復反応の進行抑制に寄与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラット培養皮膚線維芽細胞のReal-time PCR array解析からbFGF投与48時間と96時間目ともに増加するmiR-146b-5pを選定した。このmiRNAの標的分子としてPDGFRαの可能性をmiR-146b-5p InhibitorとMimicの遺伝子導入実験から検討した。 Mimic感作した線維芽細胞ではPDGFRα蛋白発現抑制が、Inhibitor感作した線維芽細胞ではPDGFRα蛋白発現亢進がWestern Blot法で確認された。そこでIn situ hybridization法によるmiR146b-5pの発現性を検討した結果、筋上膜や筋周膜の間質細胞に発現が増加していた。さらにPDGFRα蛋白との二重染色から両分子の共発現は確認できず、miR-146b-5p標的分子としてPDGFRαの可能性がin vivoで確認できた。またReal-time PCRでmiR-146b-5p Mimic感作線維芽細胞はCollagen type I mRNA発現抑制が、Inhibitor感作細胞ではCollagen type I mRNA発現亢進が確認された。よってmiR-146b-5pは標的分子PDGFRαの発現制御から瘢痕線維化の抑制に寄与することが示唆された。以上からmiR-146b-5pは線維化を促進するPDGFのシグナルを受容体レベルで抑制して修復反応の進行抑制に寄与していることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
1. miR146b-5pの標的分子PDGFRαの検定をラット培養皮膚線維芽細胞で解析する。すなわちEnsembl databaseによるRNA22 target prediction programを用いてラットPDGFRαの3’側非翻訳領域を精査し、miR-146b-5pの結合部位の候補を選定する。さらにLuciferase reporter assayを実施して、それぞれの結合部位候補おける非翻訳能を判定する。 2. miR146b-5pの標的分子PDGFRαの発現細胞を解析する。特にPDGFRα発現細胞には間葉系幹細胞が含まれるので、miR146b-5pの標的分子PDGFRαの発現細胞に間葉系幹細胞が含まれるかどうかを、PDGFRαとSca-1の共発現する間葉系幹細胞の発現性から検討する。さらにFGFR1 siRNA投与した皮膚潰瘍部におけるbFGF依存性miRNA146b-5pの発現変化とそれに伴う標的分子PDGFRαの発現変化、さらには標的分子PDGFRαとSca-1の共発現する間葉系幹細胞の発現変化を検討し、miR146b-5pによる間葉系幹細胞の発現制御も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
Sprague-Dawley ラットの皮膚から樹立した培養線維芽細胞をbFGFで刺激した際のcollagen について検討を行った。今回同様に、MMP-2, -3, -9についてのmRNA検出を行う予定であったが検討途中のため必要なプライマーなどの経費を次年度への使用額とした。 miRNAの発現量をReal time PCRとNorthern blotting法にて確認する予定であったがReal Time PCRを行った結果、違いが確認されたためNorthern Blotting 法をではなくReal time PCRで定量化をすることで比較検討を行った。Northern Blotting法で使用する予定であった分に関しては次年度更にN数を増やしてReal time PCRを行う際のプライマー及び検出試薬を購入する予定である。
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