研究課題/領域番号 |
17K11558
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
覚道 奈津子 関西医科大学, 医学部, 講師 (00509490)
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研究分担者 |
楠本 健司 関西医科大学, 医学部, 教授 (20161630)
森本 尚樹 関西医科大学, 医学部, 准教授 (40378641)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脂肪幹細胞 / 低酸素 / 増殖 / 血管新生 |
研究実績の概要 |
脂肪幹細胞の低酸素下での増殖能・分化能・遊走能、血管新生能の変化を以下の方法で検討した。手術の余剰組織から得られた1g前後のヒト脂肪組織を採取後、十分に洗浄し,コラゲナーゼタイプⅡにて40分40℃にて震盪させ、組織を消化する。消化終了後,基礎培地を加えて1,600rpm 3minにて遠心分離を行い、下部に沈殿した細胞ペレットを新しい基礎培地に移して攪拌し、3回洗浄した細胞群を脂肪幹細胞とする。なお、この方法で得た脂肪幹細胞は、骨・軟骨・脂肪へ分化する、多分化能を有することが明らかになっている。 増殖度:MTTアッセイ、DNA合成能(BrdU取り込みアッセイ)により低酸素状態で増殖促進を確認した。 血管新生効果:リアルタイムRT-PCRアレイによる血管新生関連増殖因子mRNAの発現(VEGF,FGF-2)、血管新生因子の産生能をELISAで測定し、促進効果を確かめた。 HIF-1αの発現、ERK1/2、JNK、p38、Aktのリン酸化の有無をウェスタンブロッティングで測定した。 n-propyl gallate (nPG)は、食品の酸化防止剤として使用される食品添加物の一つだが、近年、低酸素誘導因子活性化剤としての働きも持つことが発見された。このことから、もしnPG添加により脂肪幹細胞が活性化すれば、低酸素培養を行わなくても、低酸素下で培養した状態と同じように幹細胞の機能が亢進し、新たな体外増幅法となりえることが予測される。本年度の実験により、nPG添加で脂肪幹細胞の低酸素誘導因子(Hypoxia Inducible Factor、HIF)-1αが活性化されること、かつ増殖能が促進することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請内容の研究課題内容を行い、一定の結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪幹細胞における低酸素誘導因子活性化剤 (nPG)の増殖・血管新生因子産生効果の検討 脂肪幹細胞の培地にnPGを段階希釈(0,5,10,20,100nM)して1~4日間培養し、WST-8、BrdUで細胞増殖度を測定する。添加時のERK1/2、Akt、JNK、p38のリン酸化の有無を免疫ブロッティングで測定し、nPG存在下でERK阻害剤、p38阻害剤、Akt阻害剤を培地に添加して、その影響を検討していく予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品が予定額より安く調達できたため。
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