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2019 年度 実施状況報告書

口唇口蓋裂に対する多血小板血漿/フィブリンと臍帯幹細胞を用いた顎裂骨形成法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K11561
研究機関地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所)

研究代表者

小林 眞司  地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 部長 (90464536)

研究分担者 田中 祐吉  地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 臨床研究所長 (50420691)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード多血小板血漿 / 口唇口蓋裂 / 多血小板フィブリン / 骨形成
研究実績の概要

唇顎口蓋裂患児に対する乳幼児期の歯肉粘骨膜形成術は、顎裂部に骨を形成させる手技である。しかし、狭い顎裂部では良好な骨形成を得られるが、広い顎裂部では十分に骨形成ができないために、顎裂部への骨形成を促進する移植材料の必要性が高まってきた。移植材料の中でも多血小板血漿/フィブリン(platelet rich plasma/fibrin:PRP/F)は、血小板のα顆粒に含まれているサイトカインを脱顆粒させることで皮膚や骨組織に関して治癒促進効果が期待される。我々は、再生医療等安全性確保法下に「PRP/Fによる再生医療」を安全に行っている。本年度は9症例にPRP/Fを移植し、これまで術中・術後に不具合を認めなかった。CT評価では、PRP/F移植群(68.5%)は非移植群(61.5%)よりも骨形成率は高かったが、明らかな有意差は認めなかった。主な原因は、移植したPRP/Fが溶け出してしまい、長時間移植部位に留まらないためであると推測された。
一方、基礎的にはin vitroでヒト乳幼児骨膜細胞 (hiPC)に対して、PRP 添加群と乏血小板血漿 (platelet poor plasma:PPP) 添加群の上清を検討した結果、PRP 添加群ではI型コラーゲンで染色されたが、PPP添加群では染色されなかった。この結果からPRPを移植した顎裂部の骨膜は、骨の細胞外基質の主要成分の一つであるI型コラーゲンを産生していることが推測された。また、In vivoでは、T細胞機能欠如ラットの顎裂部へPRPの移植を行うことに成功した。今後は移植された顎裂部に対して組織学的検討を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

PRP/Fに関しては、臨床・基礎研究(in vitro/in vivo)ともに順調である。今後、PRP移植を行ったT細胞機能欠如ラットの顎裂部の検討を行う予定である。一方、臍帯血由来間葉系幹細胞に関しては、培養・凍結保存に成功したものの、解析はこれからである。

今後の研究の推進方策

PRP/Fに関しては、in vitroでは骨への促進作用が認められたが、実際の臨床面においてはPRP/Fが柔らかいために移植後すぐに流出して長時間移植部位に留まらないことが懸念される。この問題を解決するために、PRP/Fを移植部位になるべく長期間留まらせPRP/Fの効果を持続させる必要がある。これを解決するためにPRP/Fの徐放化システムなどの確立は急務であり、今後、新規徐放化材料にPRPを含有させた移植実験を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

参加を予定していた学会が延期になった為、次年度本研究の成果発表のために使用する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] Evaluation of Congenital Maxillary Growth Using Computed Tomography in Patients With Bilateral Cleft Lip and Palate.2020

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi S, Yasumura K, Hirakawa T, Fukawa T, Maegawa J
    • 雑誌名

      Cleft Palate Craniofac J.

      巻: 57 ページ: 282-287.

    • DOI

      10.1177/1055665619874979.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Orthodontic premaxillary setback versus premaxillary osteotomy with gingivoperiosteoplasty for Bilateral cleft lip and palate patients: 4-year observation outcomes.2019

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi S, Hirakawa T, Sasaki Y, Fukawa T, Maegawa J.
    • 雑誌名

      J Plast Reconstr Aesthet Surg.

      巻: 72 ページ: 1813-1818

    • DOI

      10.1016/j.bjps.2019.05.047

    • 査読あり
  • [学会発表] 術前顎矯正治療に依存した唇顎口蓋裂の初回手術2019

    • 著者名/発表者名
      小林眞司、安村和則、金崎茉耶、佐々木愛、平川 崇、府川俊彦
    • 学会等名
      第62回日本形成外科学会総会学術集会
  • [学会発表] シンポジウム:突出した中間顎を持つ両側例に対するNAM使用時の注意点2019

    • 著者名/発表者名
      小林眞司、安村和則、金崎茉耶、平川崇、府川俊彦、佐々木康成
    • 学会等名
      第43回日本口蓋裂学会総会・学術集会
  • [図書] 形成外科治療手技全書 先天異常2020

    • 著者名/発表者名
      小林眞司
    • 総ページ数
      266 p112-113
    • 出版者
      克誠堂出版
  • [備考] 【English】What are Cleft Lips and a Cleft Palates?

    • URL

      http://kcmc.kanagawa-pho.jp/department/cleftlips-en.html

  • [備考] 口唇口蓋裂とは?出生前診断から治療まで  Medical Note掲載記事

    • URL

      https://medicalnote.jp/contents/180410-002-PS

  • [備考] 神奈川県立こども医療センター形成外科 ホームページ

    • URL

      http://kcmc.kanagawa-pho.jp/department/plastic.html

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公開日: 2021-01-27  

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