研究課題/領域番号 |
17K11580
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
井上 弘行 札幌医科大学, 医学部, 助教 (30721568)
|
研究分担者 |
原田 敬介 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00560004)
文屋 尚史 札幌医科大学, 医学部, 助教 (50721586)
成松 英智 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70295343)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 膵傷害 / Vacuole / 膵保護 |
研究実績の概要 |
低体温はしばしば高アミラーゼ血症や急性膵炎を発症し、体温と膵傷害は負の相関があるとされる。しかし低体温により膵傷害が引き起こされる機序については不明である。ラットを用いて血清学的、形態学的にその病態を調査した。ラット体表冷却モデルで、コントロール(36-38℃)、軽度低体温(33-35℃)、中度低体温(30-32℃)、高度低体温(27-29℃)の4群に各n=5で割り付けた。低体温導入前に血清検査を行い、目標温1時間維持後に血清検査および膵組織採取を実施した。次に高濃度吸入麻酔薬による循環不全モデルを作成し、コントロール群と高度低体温群(各n=5)で、循環不全および低体温による膵への影響を検討した。血清アミラーゼ、乳酸、IL-1β、IL-6、TNF-αは低体温により抑制された。膵HE染色で低体温群にVacuoleと浮腫が出現した。TUNEL染色でアポトーシスは発現しておらず、免疫染色でVacuole内部のアミラーゼを同定した。循環不全モデルでは膵傷害を呈したが、低体温群では血清アミラーゼを抑制した一方で、組織傷害は高度だった。低体温は膵に対して二面性を持ち、形態学的にVacuoleに代表される特徴的な傷害をきたすと同時に、血清学的には保護に作用した。低体温からの復温で保護が解除されると膵傷害が表出する機序が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究結果のまとめ、論文作成が遅れたため、1年間研究期間を延長した。残り期間において、研究はおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
研究結果のまとめ、論文作成、学術誌への論文投稿と受理までを行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実験材料費、旅費などが予定していた使用額を下回った。各学会への旅費、論文作成費、論文校正費、印刷費、その他などへの執行を予定している。
|