研究課題/領域番号 |
17K11584
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
小澤 俊幸 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (50570602)
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研究分担者 |
粟津 邦男 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30324817)
鶴田 大輔 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (90382043)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 光線力学療法 / 緑膿菌 / バイオフィルム / 5-aminolevulinic acid / LED |
研究実績の概要 |
現在、バイオフィルムを低減した光線力学療法に関してiin vitro、n vivoの研究を行っている。in vitroにおいて、バイオフィルム産生量、PpⅨ産生量、6種類のキレート剤を使用して検討したところ、バイオフィルムの生成量、PpⅨの産生量においてEDTA-2Naが最も有用であることが判明した。また、ケラチノサイト及び線維芽細胞への、EDTA-2Naの細胞毒性を検討したところ、0,005%の濃度では、コントロールと比較して有意な細胞障害は認めなかった。最後に、ALA0.5%、EDTA-2Na0.005%の条件で、波長410nmLED10J/cm2の出力で光線力学療法を行ったところ、緑膿菌の殺菌に成功した。つまり、EDTA-2Naは、すべての条件で、有効であるキレート剤であることが判明した。 この結果をもとに、in vivoの実験を行った。in vivoは、糖尿病マウスの背部に6mm大の緑膿菌感染皮膚潰瘍を作成し、創傷治癒遅延モデルを作成した。このモデルマウスにALA0.5%、EDTA-2Na0.005%親水軟膏を作成し背部感染潰瘍に塗布し、波長410nm10J/cm2出力で光線力学療法を行った。結果は、光線力学療法群は、感染群と比較し有意に創傷治癒が促進した。その創傷治癒のスピードは、非感染群とほぼ同様のスピードであった。つまり、EDTA-2Naを添加した、ALAを用いた光線力学療法は、緑膿菌感染皮膚潰瘍の治療法として非常に有用である可能性があることが示唆された。 今後は、410nmLEDの至適照射出力および照射方法、PDTにより緑膿菌の形態的変化、機能的変化について調べる。また、緑膿菌は様々な色素を産生する。そのためin vitroでは効果のあった410nmLEDがin vivoで最適なのかどうかは不明であるため、波長を変更して至適波長の検討も加える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の目標である▼バイオフィルム産生量、PpⅨ産生量、殺菌効果を考慮してベストと考えられるキレート剤をin vitroで検討する(EDTA-Caよりも効率的なキレート剤の検索)。▼その場合の、ケラチノサイト及び線維芽細胞への細胞毒性について検討する。細胞毒性が高いものはin vivoで使用しない。▼緑膿菌感染皮膚潰瘍マウス(治癒遅延が起こることも確認済み)に、in vitroでベストであるALAとキレート剤の組み合わせの軟膏を塗布し410nmLEDを照射しPDTを行う。その後、バイオフィルム産生量、細菌量を調べる。▼PDTを連日行い、カメラで潰瘍の大きさを撮影し、PDTの創傷治癒への影響を検討する。▼410nmLEDの至適照射出力および照射方法を検討する。▼PDTにより緑膿菌の形態的変化、機能的変化について調べる。の内、半数以上を終了しているため。
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今後の研究の推進方策 |
410nmLEDの至適照射出力および照射方法を検討する。 PDTにより緑膿菌の形態的変化、機能的変化について調べる。 緑膿菌は様々な色素を産生する。そのためin vitroでは効果のあった410nmLEDがin vivoで最適なのかどうかは不明である。そのためLEDの波長を変更して同様の実験を行う。使用する波長は523nm、633nm (PpⅨの惹起波長から推測)を予定している。現在、波長523nmLEDは作成済み。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担者が来年度の旅費として使用を希望したため。
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