研究課題/領域番号 |
17K11587
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
根木 茂雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (20208284)
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研究分担者 |
重松 隆 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (30187348)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 急性腎障害 / 虚血再灌流障害 / 水素 |
研究実績の概要 |
虚血再灌流障害(IRI)に起因する急性腎障害(AKI)に対する水素の予防効果を検討する実験において, イソフルラン吸入麻酔を使用して, IRIに起因する実験モデル(Wistar 8~10週齢ラット)を作成し, 経時的に血清Cr濃度を測定した。結果は血清Crの上昇の見られないモデルも認められた。イソフルラン自体に腎障害の軽減効果があるとの報告(Anesthesiology 2004; 101: 1313)が認められ, 本検討においてイソフルラン使用は適切でないと判断した。腎障害の軽減効果を認めない麻酔について検索した結果, 3種混合麻酔薬(塩酸メデトミジン,ミダゾラム, 酒石酸ブトルファノール )が妥当であると判断し, イソフルラン, 3種混合麻酔を使用したIRIによるAKIモデルを作成し, イソフルラン使用のモデルと比較した。結果は3種混合麻酔使用したIRI起因AKIモデルでは腎障害の軽減効果がないことが判明した。またイソフルラン使用のラットは腎軽減作用以外にも死亡率も3種混合ラットより良好(7日後の死亡率がイソフルランラットが0%であったのに対して3種混合ラットは55%)で, 水素のAKI軽減効果を評価するには3種混合麻酔を使用したAKIモデルが適切であることが判明した。したがって, IRI起因のAKIに対する水素の予防効果の検討において, 3種混合麻酔を使用することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初IRI起因のAKIモデル作成においてイソフルラン吸入麻酔を使用する予定であったが, イソフルランによるAKIの軽減効果が認められ、本実験においてイソフルランを使用することが適切でないことが判明したため, イソフルランに変わる麻酔薬を検索した結果, 3種混合麻酔が腎臓保護作用がないとされ, 実際3種混合麻酔を使用したIRI起因のAKIを作成した結果, 良好な結果が得られた。このようなことから,未だ水素を使用した実験は行えておらず, 当初の計画より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
IRI起因するAKIモデルラットの作成することが確立されたので, 3種混合の麻酔薬を使用して, H30年度は水素が AKIの予防効果があるかどうかに関しての検討(当初は平成29年の予定)を行う。水素濃度は2.6%を使用し, Sham ope群, コントロール群(IRI起因のAKI, 水素は吸入させない), 治療群(IRI起因のAKI, 2.6%の水素吸入を行う)の3群に分類し, 水素のAKI発症予防効果に関して検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今回の実験においてIRI起因のAKIモデル作成するうえで、イソフルランによる吸入麻酔の腎障害軽減効果が認めらた。 そのため、イソフルランに変わる麻酔を検索する必要があり、その結果3種混合麻酔(塩酸メデトミジン,ミダゾラム, 酒石酸ブトルファノール )には腎障害軽減効果がないことが判明した。こういった経過より本来の予定であった、水素を使用した AKI軽減効果の検討の実験まで行うことができず、次年度使用額が生じた。IRI起因するAKIモデルラットの作成することが確立されたので, 3種混合の麻酔薬を使用して, H30年度は水素が AKIの予防効果があるかどうかに関しての検討(当初は平成29年の予定)を行う。水素濃度は2.6%を使用し, Sham ope群, コントロール群(IRI起因のAKI, 水素は吸入させない), 治療群(IRI起因のAKI, 2.6%の水素吸入を行う)の3群に分類し, 水素のAKI発症予防効果に関して検証を行う。
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