研究実績の概要 |
虚血再灌流(IRI)起因の急性腎障害(AKI)に対する水素の予防効果を検討する研究において、平成29年度はそのモデル作成時の麻酔についてイソフルランが腎障害軽減作用があると報告があるため、それを検証するための実験を行った。IRI起因のAKIモデルに対してイソフルランと3種混合麻酔(塩酸メデトミジン, ミタゾラム, 酒石酸ブトルファノール)を使用した結果3種混合麻酔には腎障害軽減効果がないとの結果が得られた。平成30年度はモデル確立させるためWistar 8~10週齢ラットを用い, 右腎を切除後に左腎動脈の阻血(50分)後再灌流させIRI起因のAKIラットを作成して再度麻酔をイソフルラン群と3種混合麻酔群に分類(各群 n=5)して, 阻血前, IRI後24時間, 48時間後, 72時間後に採血を施行した。しかしながら、前年とは異なり、Cの上昇の程度はイソフルラン群と3種混合群ではピーク値(48時間後)に有意差がなく(イソフルラン群 0.9± 0.25 mg/dL, 3種混合麻酔群 0.84± 0.23mg/dL p=0.753), BUNも同様に有意差を認めなかった。(イソフルラン群 39.2± 7.7mg/dL, 3種混合麻酔群 38.1± 14.4mg/dL p=0.531)。以上の結果よりIRI起因のAKIに対する水素の予防効果を検討する研究において当初の予定どおり、イソフルラン麻酔にて行うこととした。
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